「簡単な試合にはならない」アラムCEOが明かす井上尚弥のドリーム構想…米ラスベガス防衛とWBC王者中谷潤人戦…次戦は12月に国内でグッドマンが最有力
7月にニューヨークで行われた全米記者協会の表彰式に井上と共に出席してきた大橋会長も、米国での反応と期待感を肌で感じとっており、ラスベガス開催計画について「今までとは全然違う。前人未到のことやっていくのが井上の役目」と大乗り気だ。井上自身も「アメリカで試合をしたくなった」との思いを吐露していた。
そしてもうひとつのビッグプランがトップランクが共同プロモート契約を結んだばかりのWBC世界バンタム級王者の中谷との究極の日本人対決。アラム氏は「(実現すると)信じている」と言い「このままうまくいけば、来年に井上と中谷が対戦して日本で歴史的な大きな試合になるだろう」と続けた。
中谷は7月20日に同級1位のビンセント・アストロラビオ(フィリピン)を秒殺KOした後のリング上で「まだまだですけど、ひとつずつ、しっかり勝っていって、皆さん(の期待)が大きいものになっていけば、おのずと実現すると思う」と発言。米専門サイト「ボクシングシーン」や「ボクシングニュース24/7」、英「スカイスポーツ」などが、この発言に飛びつき「現実的な絶対モンスターを決めるドリームマッチ」などと報道していた。スーパーバンタム級に留まることを「来年いっぱい」としている井上の“卒業マッチ”としてマッチメイクされるならば、舞台は再び東京ドームとなるだろう。
ただアラムCEOは「いろいろと全部がうまく進んでいかねば難しい。何がおきるかわからないが実現の可能性はある」とも付け加えた。
井上がドヘニー、グッドマン、アフマダリエフらの刺客を撃破していくことは当然のこと、中谷が日本人が独占しているバンタム級のベルトを統一して階級を上げてくることが条件となる。中谷の前には、同じくバンタム級の統一を目標に掲げている弟のWBA世界バンタム級王者の拓真、そしてドヘニー戦のセミファイナルで比嘉との防衛戦を行う武居の2人が立ち塞がる。
果たして来年はどんな運命が待っているのか。
3日後に迫った決戦を前にモンスターが言う。
「4つのベルトを防衛する誇りを持ち自分の中で納得する試合をしたい」
2階級4団体王者のプライドはきっと衝撃に変わるだろう。
(文責・本郷陽一/RONSPO、スポーツタイムズ通信社)