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井上は逃げに徹した“ドヘニー退治”に苦労した(写真・山口裕朗)
井上は逃げに徹した“ドヘニー退治”に苦労した(写真・山口裕朗)

その瞬間に放送禁止用語を発したドヘニー…何かおかしい?7回TKO勝利も本当に井上尚弥は“不調”ではなかったのか

 「井上家は、ドヘニーを過小評価していなかった。怖さはあった。モチベーションが高く人生をかけてくることもわかっていた」
 試合後に真吾トレーナーはそう言った。
 実は水面下でも最善の準備をしていた。ドヘニーは10キロ以上の当日増量と共に、その異常なフィジカルの強さに対してドーピング疑惑がつきまとっていた。
 真吾トレーナーは、息子の健康と安全を確保するため、ドヘニー戦が決まると大橋会長にドーピング検査の事前徹底を申し入れている。5月6日のネリ戦の前にも“前科”のあるネリに抜き打ちドーピングが複数回実施されたが今回も同様にドヘニーに事前のドーピング検査が行われ「シロ」の検査結果がもたらされていた。だがそこまで準備した相手は、魂をぶつけてくることなくギブアップしたのである。
 井上が本音を明かす。
「これを言ってしまえばファンに申し訳ないが、守備、守備に回る選手と戦っていて正直、楽しくなかった」
 名勝負は好敵手があってこそ生まれる。不調に見えた一番の理由はリンクしなかったドヘニーとの相性にあったのかもしれない。
 試合後のリング上では共同プロモーターのトップランク社のボブ・アラムCEOがインタビューに応じて、次戦は東京で行われ、来年には、米ラスベガスで「大きなパーティーを開催計画がある」と明かした。井上は「次は12月」とその時期までフライング発表したが、対戦相手の有力候補は、WBOとIBFの指名挑戦者であるグッドマンだ。19戦無敗(8KO)のオーソドックススタイルの基本通りのボクサーファイターで、昨年3月にはドヘニーと対戦し、途中フラッシュダウンを奪い3-0判定勝利している。5月6日の東京ドームではリングに上がり、井上とエールを交換したが、なんとこの9月の対戦から“敵前逃亡”し、7月の地元でのWBC同級8位チャイノイ・ウォラウト(タイ)との前哨戦を優先させた。3-0判定勝利したが、その試合で左手を骨折。12月の試合には間に合うようだが、井上にとってはエール“空ぶり”の恥をかかされた因縁の相手である。
 そして新型コロナ禍での無観客試合以来、4年ぶりに登場となる来年に計画されている米ラスベガス興行では、対戦相手として元WBA&IBF王者で、WBAの指名挑戦者であるムロジョン・アフマダリエフ(ウズベキスタン)が有力視されている。
 当日の体重を最重量にした理由のひとつに2026年からの転級を考えている5階級目となるフェザー級への挑戦準備もある。
「視野に入れることができるかな」
 それがドヘニーと戦った収穫のひとつ。
「まだまだ未完成。もっともっと上を目指していきたい」
 4団体王座の2度目の防衛成功は、サウル“カネロ”アルバレス(メキシコ)、デビン・ヘイニー(米国)のビッグネームに並ぶ史上3人目の快挙だった。
(文責・本郷陽一/RONSPO、スポーツタイムズ通信社)

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