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平本蓮のドーピング検査を発表したRIZINの榊原CEO(左)と医療部の諫山部長
平本蓮のドーピング検査を発表したRIZINの榊原CEO(左)と医療部の諫山部長

「ルールによってはアウト」「朝倉未来が不憫」RIZINが「陰性」と発表した平本蓮のドーピング検査の現状ルールは“抜け穴”だらけだった

 

 榊原CEOは、平本にドーピング疑惑につながるそれらの“脇の甘い”行為があったことを厳しく問うた。
「意図(的)か意図(的)じゃないかにかかわらず、ドーピングに引っかかる薬物を入手していた時点でルールによってはアウト。現状のRIZINのルールでは、そこまでの規定がないので、これをドーピングに該当という裁定はできないが、ルールを改定するとアウトになる側面がある。平本選手に猛省をしてほしい」
 さらに「注射を打った行為」を問題視し、隣に座っていた医療部の諌山部長に「注射を打つこと自体いいんですか?」と尋ねる場面もあった。
「注射を打つことは医療行為にあたるかもしれないと思ったりもするが、ただ現状のルールの中では、そこに対して白とか黒とか判断するルールになっていない」
 再度、現状のRIZINの規定が、“抜け穴”だらけだったことを自ら認めた。
 この注射行為については諌山部長は注目発言を行った。
「日本では医師以外が注射行為はできない。ちょっと信じられない話だと思っている」
 平本自身は会見でその薬品名を明かすことができず「アスリートとして」調べることもしなかったことを反省していたが、諫山部長は「考えられる薬品は何か?」の質問に「平本さんからサプリのTUE申請はない。想像することすらはばかられる、というかわかりません」と困惑していた。
 諌山部長の言う「TUE申請」とは、風邪薬などドーピングに引っかかりそうな薬品もしくはサプリを使用した場合、事前に医療部に申請しておく行為を示す。
 榊原CEOは、規定の改定にあたっては、プロ野球やJリーグなど他のJADA(日本アンチドーピング機構)に参加していないプロスポーツのドーピング検査実態を調査するとも語ったが、プロ野球では、TUE申請のない注射行為は、すべて処罰対象となる。ニンニク注射でさえアウトだ。
 榊原CEOは「負けたら引退」の覚悟で平本戦に臨み、1回TKO負けを喫してその言葉通り引退を示唆する発言を行った朝倉未来についてもこう言及した。
「引退をかけて戦った試合が、心ないこと、ドーピング疑惑で泥が塗られてしまったこと、汚してしまったことは本当に悔しい。未来が不憫でなりません。この結果を招いたことは、最終的には僕の責任、主催者の私の責任。本当にお詫びしたいし、未来、海が中心になって彼らと共にRIZINの熱を作り出した。この試合が引退で終わっていくことに本当に申し訳ないと思っています」
 RIZINの責任者として規定の不備でドーピング疑惑を食い止めることができなかったことを謝罪した。
 今回は、50、60ある検査項目のすべてで陰性となったが、SNSでは「検査をすり抜けるマスキング剤を使用したのではないか?」の疑念もある。榊原CEOは、「性善説に立っている。これを飲んでおけば(使用痕跡が)消えるというレベルにはないと認識している」と、その可能性が低いとの見解を伝えた上で、さらに追加での血液検査の実施や、潔白を証明させるため、封の開いていない未使用のステロイド剤を提出させるなどの検証行為を行わないことを明かした。
「今のルールでは当日の検査がすべてです。それ以前についても我々の中で判断する材料がない。行動、事実がどうだったかと僕らは検証する立場にはない」
 あくまでもドーピング疑惑の結論は、現状のRIZINのドーピング規約によって出された「陰性」という結果のみでもたらされ「それ以上でもそれ以下でもない」という。
 9年間改正しなかった今現在のRIZINの“抜け穴”だらけのドーピング規定ではシロ。しかし、今後、見直す新規定ではクロ。では、平本の行動規範、モラルを問うことはしないのか。

 

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