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平本蓮のドーピング検査を発表したRIZINの榊原CEO(左)と医療部の諫山部長
平本蓮のドーピング検査を発表したRIZINの榊原CEO(左)と医療部の諫山部長

「ルールによってはアウト」「朝倉未来が不憫」RIZINが「陰性」と発表した平本蓮のドーピング検査の現状ルールは“抜け穴”だらけだった

 

 そう質問すると榊原CEOはこう見解を述べた。
「疑惑ですよね。“(禁止薬物を)買ったけど飲まないって本当?”と思うのが人間だと思います。でも決めたルールの中で裁くしかないというのも現実。今後、自分の中でも疑惑を持ちたくないし、うちの選手は真っ白だと言い切りたい。平本選手はそれを買ったけれど飲んだのか、飲まなかったのか、誰もわからない。でも朝倉信者や朝倉選手側の関係者が“むっちゃ怪しいじゃん、絶対に飲んでるよ”と思っても仕方がないと思っています。でもこれは水掛け論。僕らが決めたルールで現状裁く以外はない。だから、この先、平本蓮は向けられた疑惑とか疑念を彼が戦うこと、クリーンな身体であることを証明していくことで取り戻せばいいと思っている。そういう意味で言えば、7月28日の試合は平本蓮にとっても“朝倉未来に勝った”と大手を振ってこれから彼のキャリアの中で燦然と輝くものではなくなってしまったのは事実」
 平本は1回に勇気を持った踏み込みからの打撃で朝倉を秒殺KOしていたが、その結果に傷がついたことを示した。
 RIZINは平本に大晦日大会への出場オファーをかけるという。
「平本には大晦日の試合をオファーすることになりますが、未来に向けた検査を受けてもらおうと思います。血液検査も必要であれば受けてもらおうと思っています。その検査が陰性であると確認が取れた後で大晦日出場の相談をしていきたい」
 ただ2日の会見では、平本は怪我を負っていることから大晦日大会への出場は難しいことを示唆していた。
 榊原CEOは出場停止期間や罰金などの罰則をも厳しくする方向の新規定は、9月29日にさいたまスーパーアリーナで開催される「RIZIN.48」から着手したい意向を示した。大晦日大会から本格運用していく考えだという。榊原CEOは、日本にはWADAやJADAに参加していない団体が検査機関に恵まれていないことを嘆いたが、同じくWADAに参加していないプロボクシングの世界では、大きな世界タイトル戦では、VADAという米国の任意の検査機関が抜き打ち検査も含めたWADAに準拠するレベルでの厳しく精度の高いドーピング検査を実施している。
 5月6日に東京ドームで行われた井上尚弥(大橋)とルイス・ネリ(メキシコ)のスーパーバンタム級の4団体統一戦では、ネリに“前科”があったこともあり、試合前からVADAの複数回の抜き打ち検査が実施されていた。本気でやるならそのVADAに協力を仰ぐなどやり方はいくらでもある。ただ世界的な統一フェデレーションが確立されておらず、興行の側面が強い総合格闘技界の世界でどこまで厳格化さを追求すべきかの議論もあるだろう。
 また諌山部長がデータを示して明かしたように費用がかさむことや選手への負担を考え、血液検査は、VADAも含めてほとんどの任意団体でのドーピング検査では実施されていない。それでもWADAやJADAでは狙い打ちをしている選手に血液検査を強制する機会が少なくはない。シドニー五輪の際には、日本の金メダルの有力候補が空港で抜き打ちの血液検査を仕掛けられ関係者が激怒したことがある。
 どこまでやるか。そして平本及びRIZINは失墜してしまったイメージをどう回復するのか。今後の動きに注目が集まる。
(文責・本郷陽一/RONSPO、スポーツタイムズ通信社)

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