何が阪神と広島の明暗を分けたのか…岡田監督の嫌がることのできなかった“新井カープ”が犯したミス…トラは首位巨人に2ゲーム差で広島は泥沼6連敗
さらに一死満塁から満塁打率.571を誇る木浪のセンターへ抜けかけたゴロは菊池の決死のダイビングキャッチで止められた。万事休すーの併殺に終わる大ピンチだったが、そのグラブトスを二塁ベースカバーに入った矢野が併殺を焦ってつかみそこねてボールがグラブからこぼれたのだ。佐藤が生還してオールセーフ。
矢野は、前日も同じようなセカンドのカバーで捕球ミスを犯していた。新井監督は、黒原をイニング跨ぎさせるためのダブルスイッチもあって、8回に矢野をベンチへ下げた。
セ・リーグでタイトル獲得経験のある評論家の1人は、「矢野のミスの原因はハンドリングではなく足が動いていないこと。全力プレーを続けてきた矢野は、ここにきて疲労が下半身に見える。優勝争いのプレッシャーもあるだろう。矢野のプレーが象徴だが、中継ぎも含めて、チーム全体を襲っている疲弊が、広島の9月の急落の原因だと思う」と分析した。
広島は6連敗で9月に入って2勝10敗。優勝戦線から脱落しかけている。
そして1点差に詰め寄り岡田監督が「昨日の最後にも使おうと考えていた。原口で行くことは決めていた」と語る、14試合ぶり出場の“とっておき”の代打原口がレフト前へ同点タイムリー。
この回に一気にゲームをひっくり返すことはできなかったが、もう流れは阪神に傾いていた。広島の自滅とも言えるが、阪神が自滅が誘ったとも言える。
岡田監督は、広島打線の巡りを考えて8回岩崎、9回ゲラの並びで継投リレーした。2人は走者を出しながらも無失点に抑えてサヨナラのお膳立てをした。7回を締めた冨田も含めて中継ぎの安定が虎の強みである。
「そらピンチもあるけど、とにかく0点に抑えることが、この時期は一番。粘り強く投げた」と岡田監督も言う。
9回二死二、三塁から中野がキャリア2度目となるサヨナラヒットをセンター前へ弾き返し、歓喜のウォーターシャワーでびしょ濡れとなった。
「自分にプレッシャーをかければ必ず良い結果が出ると思っていたのでしっかりと自分にプレッシャーをかけた。ランナーが三塁にいたので、ヒットで良いという気持ちで楽に打つことができたので、その分、良い結果につながった」
1人乗り遅れていた中野が、ここ5試合で、打率.381と急上昇。8月の月間MVPを獲得した近本との1、2番コンビが機能し始めたのも、阪神のラストスパートに向けての好材料である。