阪神のヤクルト連勝の裏に何があったのか…岡田監督が仕掛けた“戦略的四球”と前川右京の超美技&決勝犠飛…巨人追撃のカギとなる9月防御率1点台の投手陣
岡田監督は、左打者が続く7回に桐敷、8回には、今季初どころか米国時代を通じて初という3連投をゲラに命じて、その新外国人は村上、オスナ、代打宮本を三者凡退に打ち取った。ゲラは「過去にも経験がなくて、人生初の3連投だったんですが、自分でそれが成し遂げられたことが嬉しい。ひとつの自信になるし何よりもチームが勝てたことが嬉しい」と自信を深めた。
そして9回は岩崎の必勝パターンで完封リレー。
岡田監督は「(先発が)6回までいってくれると(中継ぎが)1人休める展開にもなるし、こないだの富田とか他のピッチャーも凄く良い仕事をしているんで、何とか6回、7回ぐらいで追い越しとけばというのはある。リリーフ陣の頑張りが凄くある」と鉄壁の中継ぎ陣を賞賛した。
この2試合でサンタナ、村上、オスナのヤクルトの危険なクリーンナップに1本のヒットも許さなかった。特に首位打者のサンタナを「一発より四球」の“戦略的な四球”で封じこめたことが大きい。前日のゲームでは、8回二死二塁のピンチでサンタナ、村上と続く場面で、桐敷―梅野のバッテリーに「2人でひとつのアウトでいい」と指示。カウントが悪くなるとサンタナと無理に勝負はせずに歩かせて村上をセンターフライに打ち取った。この日も大竹は、サンタナに3つの四球を与えたが、制球ミスではなく「一発を回避した」“戦略的な四球”だった。
5回には二死からサンタナ、村上に連続四球を与えたが、オスナを完全にタイミングを外したチェンジアップで空振りの三振に打ち取り得点は許さなかった。
岡田監督は、バッテリーに「頭を使った配球」を口うるさく説いてきた。初球の入りで痛い目にあったという反省もあるが、前試合、前打席からのつながりや、打線の並び、ゲームの流れなど、対戦を点ではなく線で考え、そして最終的に「得点を与えなければいい」との配球術である。
キャンプに出遅れた大竹だが、2年連続の2桁勝利となる10勝をマークして3点台だった防御率も2点台に下がった。阪神は9月に入って10勝3敗とチーム状態は急上昇しているが、10勝のうち9勝に先発に勝ち星がついている。
12勝3敗、防御率1.69のエース才木を軸に、高橋(2勝)、村上、大竹(2勝)、ビーズリー(2勝)、西勇、青柳の7人である。とにかく先発に谷間がない。巨人のように菅野や戸郷を中4日登板させるような無理もせず、しかも、11試合連続無失点中の桐敷、石井、ゲラ、岩崎の勝利方程式は鉄壁で、9月のチーム防御率は、リーグに唯一の1点台である。