「老練な岡田と1年目の阿部。最後は監督力の違いが出る」巨人超大物OBがセのV争い“ GTデッドヒート”の行方を占う
一方の首位の巨人はどうか。
広岡氏は、就任1年目の阿部監督の手腕を評価している。
「キャッチャー出身の監督は理想だ。阿部はよく勉強している。ドタバタしたところも見られず、我慢の采配ができている。菅野とコミュニケーションを密にとり、彼を復活させ投手リーダーに据えたのも阿部の功績だと思う。だが、私が気に入らないのは守備位置や打順を固定しないことだ。大城に一塁を守らせてミスばかりで菅野の足を引っ張った。坂本にしても6億円も年俸をもらっている選手を休ませる必要などどこにあるか。ヘルナンデスが怪我で欠いたことも痛い。おかげで浅野は出てきたが。また投手陣も、先発にメンデスなんかを使い、戸郷、菅野を中4日で回さねばならないことが余裕の無さの象徴。中継ぎでもバルドナードなんていうのは信用がおけない」
広岡氏が指摘したのは15日の中日戦だ。体調不良の坂本をベンチ外にしたため、岡本を三塁、大城を一塁で起用したが、守備でミスを連発して、中4日でマウンドに上がっていた菅野をいらだたせた。ゲームには勝ったが、隙を見せたゲームだった。
また先発の3本柱の1人である山崎伊が13日のヤクルト戦で3回持たずにKO。翌日に登録抹消されたのも優勝へラストスパートをかける点でもマイナス材料だろう。中継ぎではケラー、高梨、平内が9月の防御率が0.00で、大勢へつなぐセットアッパーを整備しているが、阪神のような鉄壁の勝利方程式とは言えない状況だ。
広岡氏の結論は「最後の直接対決ですべてが決まるだろうが、このままのゲーム差で阪神が巨人戦を迎えることができれば逆転優勝の可能性が高い」というものだった。
「こういう戦いになると監督力の差が大きく影響する。したたかで老練な岡田、1年目で監督としての経験に欠く阿部との差が出るだろう。本来は、こういうペナントレースの展開になったときの巨人は負けなかった。それが伝統の力で、勝つ味を知っているチームの強さなのだが、巨人は2020年を最後にリーグ優勝から遠ざかっていて勝つ味を忘れている。一方の阪神には昨年優勝を経験したという成功体験がある。巨人OBとしては巨人に優勝してもらいたいのが本音だが、今年のペナントレースは、その差が出る」
それがヤクルト、西武で計3度日本一を手にしている名将の答え。巨人は今日18日から6連戦。東京ドームで横浜DeNAと2連戦、マツダで広島と2連戦、そして22日から甲子園で阪神と頂上決戦を戦う。一方の阪神は、日程が飛び飛びで、今日18日はバンテリンドームで中日と、20、21日に横浜スタジアムで横浜DeNAと戦い、移動日なしで22、23日の巨人戦を迎える。今日の中日の先発は防御率1.14、12勝3敗の高橋宏。一方の阪神は昨季のMVP男の村上を立てるが、巨人戦を前に試練の一番となる。
(文責・駒沢悟/スポーツライター)