敵地でのWBCシルバー戦で34秒も早いゴングを鳴らされ王座から転落した葉月さな。無効試合、再戦を訴えている(本人提供)
これは酷い!「ルールを守れなかったこの試合は無効だ!」メキシコで起きた「34秒早い終了ゴング」の“大事件”で王座を失ったプロ女子ボクサー葉月さなが激怒して悲痛の訴え!
葉月の本名は脇山さなえ、6歳で親に捨てられ、弟とともに児童養護施設で育てられた。17歳で長男・玲志さん(22)を出産。その後、弟の死をきっかけに2014年11月、30歳でプロデビューした異色のシングルマザーボクサー。第7代東洋太平洋女子ミニマム級王者にも輝いており、その生き様は映画「雲旅」にもなったほど。
それだけに運営の不手際の中でベルトを失ったことのショックは大きい。
「弟の死と息子に背中を見せたいという思いがボクサーになったきっかけ。ボクシングは、自分を誇れる唯一のものです。長男も再びボクシングを始めており、一緒に上を目指していきます」
しかし葉月は心を折らない。
これまで何度も再起しており今後も現役にこだわる。
「少しずつ体を動かしています。このままでは終われない。WBCへ抗議するには個人で文書を出しても通りにくいということなので、みなさんの力をお貸ししてもらえれば」
世論をバックに白銀尊道会長と連名でWBCへ「試合の無効と再戦」を正式に訴えていく考えだという。現在40歳。残された時間が少ないことを自覚している。
(文責・山本智行/スポーツライター)