もし井上尚弥が“生涯無敗の元世界王者”リカルド・ロペスと戦ったら…34年前“伝説の世界戦”で対戦した大橋会長とのトークショーで明かした“究極の仮想対決”の答えとは?
大橋会長が聞きたかったのはロペス氏が多用した左のボディジャブの理由。当時、ヨネクラジムの担当の松本清司トレーナーからは「ボディを防ぐパ―リングが大きいクセがあるので、そこを狙われる」と注意されていた。
「あれで探りを入れて上を狙ったんでしょうか?」
そう聞くとロペス氏は「ボディを打ったときにああいうアクションをした。試合映像も見て。あのアクションがあるのがわかっていたので狙っていた」と明かした。
大橋会長は、4ラウンドにワンツーをもらって手をつき、5ラウンドに再び強烈な右ストレートを浴びて2度目のダウン。そして最後は、ボディの防御のパ―リングで右手が大きく下がるクセを見抜かれ、ガラ空きとなった顔面に左フックをまともに食らって3度目のダウン。なんとか立ち上がったが、足がよろけて倒れそうになりレフェリーがストップした。
「目の前が深夜テレビの砂嵐のようになった」という。
大橋会長は、その後、WBA世界同級タイトルに挑戦して王座に返り咲き、「大橋さんとの試合で人生が変わった」というロペス氏は、そのベルトを21度防衛、最後はライトフライ級に上げてIBFのタイトルを獲得し2階級制覇を成し遂げて無敗のまま引退した。アマで40戦無敗、プロでは52戦51勝(38KO)1分けの戦績だった。
大橋会長は、指導者としての理想はロペス氏の「打たさずに倒すボクシングだ」という。
「集大成は、リカルド・ロペス。常にKOを狙い、倒すだけはなくディフェンスもいい。それが井上尚弥につながっていく」
トークショーの話題は、大橋ジムに所属する井上に移った。レジェンドがモンスターをどう見ているか?は最も興味深いテーマだ。
「井上さんは本当に偉大なチャンピオンだ。強くてパワーもあって速い。技術的にも凄いチャンプだ。日本だけでなく世界で一番凄いチャンプだと思う。メキシコでも評価が高い」。
そう絶賛した。
そしてもし現役時代に2人が戦ったら?という仮想対決話が及んだ。井上のチャンピオンロードのスタートはライトフライ級。この仮想対決もそれほど無茶ではない。
ロペス氏は井上へのリスペクトを込めてこう答えた。
「井上は偉大なので、勝つのは難しい」