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左から井上尚弥、大橋秀行会長、リカルド・ロペス氏(写真・山口裕朗)
左から井上尚弥、大橋秀行会長、リカルド・ロペス氏(写真・山口裕朗)

あわや大惨事?!“伝説の生涯無敗世界王者”リカルド・ロペス氏を招聘した全ミニマム級カードの画期的興行で新王者が3人誕生も4時間を超えるロングランで…

 

 セミファイナルのOPBF東洋太平洋同級王座決定戦では、全日本新人王で、同級6位の石井武志(大橋)が8戦無敗で勢いのある20歳の同級5位のジョン・ケビン・ヒメネス(フィリピン)を3-0判定で下し新王者となった。
 石井は武居と同じくキックボクシングジムの「パワーオブドリーム」出身の元キックボクサー。デビュー以来、順調にきたが昨年9月に世界ランカーだったリト・ダンテ(フィリピン)に判定で敗れて左目を眼窩底骨折。7月に再起してここへたどりついた。
 4ラウンドまでは、左のボディショットや不用意な左フックを浴びて途中採点でジャッジの2人がドローを付けるなど、互角の展開だったが、前へ出る徹底した“ブルファイト”を貫き、ロープに押し込んで、左右ボディから左右フックと上下への強打を続けてペースをつかんだ。リングサイドの武居からは「ボディ!」などの具体的な助言も飛んでいた。
 石井は「右フックに手応えはあった」というがタフなヒメネスは弱みを見せず決定的なシーンは作れなかった。11ラウンドになってようやく「負けた試合の反省を生かしてジャブ、ワンツーを使った」とストレート系のパンチを織り込み強弱をつけるようになった。KO決着はできず引き出しの少なさが課題として残ったが手数と攻勢点では勝り、文句なしの戴冠だった。
「正直、見にきていただいたお客さんには申し訳ないが、12ラウンドを戦い抜くつもりで練習からやってきた。フィジカルは負けたときから自信はあった。反省を生かした戦いができたかなと思う。まだ実感はないが、世界にはまだまだ強い奴がたくさんいるので、そこに勝って初めてチャンピオン。つまんない試合はしちゃったが勝ったので次につながる。世界の強豪を倒していく」
 リング上で石井は、ファンにKO勝利とならなかったことを詫び、今後の決意を語った。
 だが、大橋会長は「不合格」と手厳しかった。
「石井と森の2人は、今日の結果と内容次第で、次に世界を組むつもりでいたんだけど、この内容じゃまだ厳しいね」
 世界へ向けての“追試”を課した。
 また第5試合では、全日本新人王の決勝で引き分けたものの優勢点の差で新人王を逃した北野武郎(大橋)がプロ8戦目で、日本ユース王者の宮澤蓮人(松田)に挑み3-0で判定勝利し新王者となった。だが、サウスポーの強みと得意の遠くからのボクシングを宮澤に潰される苦しい展開だった。
 この日、伝説のロペス氏の前で新王者となった松本、石井、北野の3人が未来の世界王者候補であることは間違いない。異例のロングラン興行も数年先に世界の頂点に立った時に「あの試合があったからこそ」と語ることのできる思い出になればいいだろう。
(文責・本郷陽一/RONSPO、スポーツタイムズ通信社)

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