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就任1年目で巨人の阿部監督が4年ぶりにペナントを奪還。阪神の岡田監督は球団初の連覇を逃した(写真・黒田史夫)
就任1年目で巨人の阿部監督が4年ぶりにペナントを奪還。阪神の岡田監督は球団初の連覇を逃した(写真・黒田史夫)

4年ぶりにV奪還の阿部巨人と球団初の連覇を逃した岡田阪神の何がどう違ったのか…フロントのバックアップ体制に温度差

 一方の阪神は、昨季10勝6敗、防御率1.75で、防御率タイトルとMVPを獲得した村上は7勝10敗と負け越した。リリーフで延長11回から投入された27日の広島戦のように守備のミスに足を引っ張られてリズムに乗れなかった試合も少なくなかった。武器であるナチュラルにスライダー回転するストレートが思ったように動かなくもなった。 
 現役ドラフトで新戦力としてソフトバンクから加わり12勝2敗、防御率2.26の成績を残して優勝のプラス戦力となった大竹は、今季も10勝7敗と奮闘はしたが、昨季のような不敗神話は作れなかった。
 13勝3敗、防御率1.61の才木が、球界を代表するエースとしてチームを引っ張ったが、年齢的にはまだ菅野のようなリーダーシップは取れない。後半に4勝1敗の成績を残した高橋というプラスアルファは出てきたが、怪我明けとあって中6日ではローテーに組み込むことができなかった。
 先発のポテンシャルで言えば、巨人は菅野、戸郷、グリフィン、山崎に続く5人目から井上などで、やりくりしなければならなかったが、阪神は枚数が揃っていた。
 中継ぎに関しても、阪神は、石井、桐敷、ゲラ、岩崎と勝利方程式が固定されていたが、巨人は、バルドナード、大勢につなぐイニングは日替わりでしかも大勢は途中に戦線離脱もした。だが、最終的なチーム防御率は巨人が2.47のリーグトップで阪神が2.50で2位だった。
 野球はバランスである。投手力を生かしきれず投打がチグハグだった阪神と、そこが見事に噛み合った巨人。それが143試合のペナントレースの戦いなのだ。
 そして最後に伝えたいのは追われるものと追うものの立場の違いだ。巨人は今キャンプで18年ぶりのリーグ優勝を果たした“虎の強さ”の理由を研究し、データなどを徹底的に洗い直す分析作業に没頭した。阿部監督の号令のもとで行われたものだが、過去に巨人軍がやったことのない1点集中型の対策だった。
 阿部監督は明確にライバルを阪神として設定していたのだ。明らかに阪神のサインが読まれているというシーンも何度かあった。
 対する岡田監督も開幕前から巨人を仮想ライバルと考えていたが、途中は広島との三つ巴にもなり、連覇を狙うチームゆえにターゲットを絞りきれなかった。
 だが、まだクライマックスシリーズへ巨人―阪神の戦いは続く。阪神はファーストステージを勝ちぬかねばならないが後半戦にチームの形を取り戻した。
 神宮球場のファンに挨拶して、出口へと向かう岡田監督に、レフトスタンドの虎党から大きな「岡田コール」が起きた。

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