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藤田菜七子の電撃引退が正式に決定した。JRAの対応にも問題は残った(写真:REX/アフロ)
藤田菜七子の電撃引退が正式に決定した。JRAの対応にも問題は残った(写真:REX/アフロ)

人気女性ジョッキー藤田菜七子の電撃引退を招いたJRAの“落ち度”と曖昧ルール…なぜ昨年5月の厳重注意を公表しなかったのか…「施行規定上の処分ではない」の説明も残る“隠蔽疑惑”

 

 事態の異常な展開を受けてJRAは、11日午後3時に緊急会見を開き、松窪隆一審判部長、佐藤宏昭審判部免許課長が経緯を説明した。JRAは、昨年5月に今村らのスマホの不適切使用が発覚した際に、再発防止のため全騎手に「通信機器の不適切使用経験の有無」の聞き取り調査を実施した。その際、藤田がスマホを持ち込み使用する違反行為を犯していたことを申し出たという。ただTwitter(現X)やYouTubeを閲覧するための使用で、LINEやメールなどによる外部との通信には使っていないと説明したことから「当時は処分には至らないという判断」(松窪)で騎乗停止処分などは科さずに口頭による厳重注意に留めた。そして「指導であり注意。施行規程上の処分ではない」との理由で公表はしなかった。   
 だが、今回の文春の報道を受けた後の事情聴取では、「3人の厩舎関係者」との通信を認めたため、「当時(昨年5月)は他者と通信はしていないと言っていたが、本当はそういうことがあった。前回の発言が虚偽申告であることが判明した」と重大な非行であったことを理由に騎乗停止処分を科した。
 さらに「この件について騎乗停止の通告を本人にした際に10日付での騎手免許取り消し願いの提出があった」とも話した。
 当時、藤田への厳重注意を発表しなかったことへの説明は、それが規定であったとしてもいかにも苦しい。
 クリーンなイメージを持つスター選手をかばう忖度をして“隠蔽した”という疑惑を持たれても無理はないだろう。また10日に騎乗停止処分を決めた際にも、スマホの不正使用ではなく、虚偽報告が理由であったことも伏せられていた。JRAの対応のすべてが後手後手に回った印象は免れない。
 繰り返すが、禁止されているスマホの不適切使用を行った藤田の行為にどんな言い訳も通用しない。ただJRAの対応にも落ち度があったと指摘せざるを得ない。
 昨年5月の時点で、内部調査により藤田のスマホの不適切使用が発覚して厳重注意を与えていたことを公表していれば、今回の文春砲の報道後に、SNS上で「他の若手は処分されているのに菜七子は使用を隠していた」などという批判の集中砲火を浴びることもなかったかもしれない。
 また昨年5月の時点では、まだスマホの持ち込み自体は禁止ではなかったというJRAの曖昧なルールもあった。この日も「全面禁止ではなく、ダウンロードしたレースの映像は翌日や翌々日の騎乗のため、視聴することはできた。ただ通信を伴う使用はダメでした」と説明された。厳格なルールを作っていなかったJRAにも問題はあった。

 

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