「あなたは体重超過を反省していないんですか?」計量失格の“問題児”カシメロが圧巻の160秒TKO勝利で井上尚弥に挑戦状を叩きつける…失態の言い訳タラタラ
そして、こう続けた。
「井上戦へのアピールになったと思う。オレはいつでもどこでも井上と戦う」
2020年4月に一度は米国ラスベガスでの対戦が正式決定しながらも新型コロナの影響で流れて以来、幻に終わったままのモンスターの戦いを改めて熱望した。
“仕掛人”のトレジャーボクシングプロモート代表の元WBO世界スーパーフェザー級王者の伊藤雅雪氏も、カシメロの1ラウンドTKO勝利に興奮していた。
体重を管理するため、試合の2週間以上も前の9月26日に来日させ、千葉に一軒家を借り、運転手をつけ、練習場所も確保していたのに、体重超過を犯したカシメロに「ふざけんな。もう(井上戦の)可能性はゼロだ」と大激怒。
「この試合で、よほどのインパクトを与えない限り、もうカシメロは終わりだ」と“最後通告”を送っていたが、評価は一変した。
「やはりリングではかっこいい。迫力もスピードもある、魅力的だとリアルに思った。昨日は失望したし、体重超過を犯したことで、井上選手陣営が納得してくれるかどうかはわからないが、あの左フックは、唯一井上選手に勝つ可能性のある選手だと思う。不甲斐ない内容だった1年前の試合とは雲泥の違い。しっかりと復活をアピールできたと思う。井上選手のこれからの相手は決まっているが、なんとか挑戦者候補として食い込めるように交渉をしていきたい」
カシメロはちょうど1年前に元IBF世界スーパーバンタム級王者の小國以載(角海老宝石)と対戦したが、消化不良の4ラウンド負傷ドロー。観戦に訪れていた大橋秀行会長が、「尚弥とやりたいならもうちょっと練習しないとダメ」と“ダメ出し”するほど評価はガタ落ちして対戦候補のリストから消えた。
井上は12月24日にWBO&IBF同級1位のサム・グッドマン(豪州)との防衛戦が決まっていて、その次にも「指名試合の義務を果たさないのは恥。戦わないならベルトを返上しろ」などと盛んに挑発してくるWBAの指名挑戦者で、元WBA&IBF世界同級王者のムロジョン・アフマダリエフ(ウズベキスタン)が控えている。
カシメロが挑戦者に割り込むなら“第3の刺客”。なにかと騒ぎを起こす“問題児”の話題性と、日本でのネームバリュー、そして一発KOの魅力で言えば、伊藤氏が、カシメロを強力プッシュする理由もわからないでもない。
わずか160秒の戦いの中でも、サンチャスのパンチを被弾するシーンもあり、井上が相手なら命取りになっていただろう。しかし、爆発力のある怒涛の攻撃力は向かうところ敵なしの井上に対して、5月6日の東京ドームを満員にしたルイス・ネリ(メキシコ)に負けずとも劣らぬ勝負論はある。
(文責・本郷陽一/RONSPO、スポーツタイムズ通信社)