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なぜ「ミラ☆モン」日本王者の松本圭佑は1年9か月ぶりTKO勝利で消えかけていた世界戦チャンスを復活させたのか…父からの引退勧告…最強挑戦者との次戦が最終テスト

 そのとき8戦目の佐川遼(三迫)との日本フェザー級王座決定戦に勝つ前と勝った後で、ボクシングへの向き合い方が変わっていることに気がついた。
「ベルトを取る前は、自分の力を見せてやりたいというハングリーさがあった。でもベルトを取ってからは世界ランクもちょっとずつ上がってきて、負けられないとかベルトを守んなきゃという思いが強くなっていた。今回は原点に返り、ハングリー精神を持った。判定続きで倒せないと思われているものを払拭したかった」
 ジャブ&ワンツーという武器であり基本のパンチを磨き直した。
 父はスパーリングパートナーに力の拮抗しているレベルの選手を呼び、スパーリングから本気モードを植え付けた。その中でも「倒そうと力まないこと」を徹底した。
 WBO世界バンタム級王者、武居由樹と比嘉大吾(志成)の世界戦が9月3日に決まり、比嘉の専属トレーナーである野木丈司氏が主催する長い階段を使った通称「野木トレ」から、この間だけ何十年も参加している大橋勢は参加をとりやめた。だが松本は1人参加を継続した。比嘉の近況を大橋陣営に知られる危険性もあったが、野木トレーナーが「次の試合で内容を問われる圭佑にとっては勝負なんだから気にせずくればいい」と声をかけてくれたのだ。
 父はその間一切写真などの撮影はせず、大橋会長も心中を察して何も聞いてこなかった。この日、野木トレーナーは観客席にいたが、その思いにも応えたかった。
 昨年11月に籍を入れた3つ年下の妻の沙弥さんのサポートもあった。減量途中に少し予定体重に余裕が出てジュースを飲もうとしたが「そういうところを我慢しなきゃいけない」とストップをかけられた。
「僕が甘いんで彼女の厳しいところに助けられていますよ」
 閉じかけていた世界への扉が1年9か月ぶりのKO劇で再び見えてきた。
 試合後、大橋会長は、「前回の試合内容がよければ世界戦を組む予定だったが、まだもう1試合みたい。チャンピオンカーニバルでの結果、内容次第で、次に世界」という構想を明かした。

 11月24日に大阪で同級1位の殿本と2位の大久で挑戦者決定戦が行われるため、その勝者と来年にも5度目の防衛戦を行うことになる。その結果と内容が世界への最終テスト。松本も覚悟はできている。
「チャンピオンカーニバルという伝統ある大会。その階級で1番強い挑戦者がくるので、そこでいい勝ち方をすれば自信にもなるし世界にまた1歩近づくんじゃないか」

 

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