「三浦監督の作戦には臨機応変さがなかった」何が逆王手をかけた巨人と横浜DeNAの明暗を分けたのか…守り切った阿部野球と勝負手を打てなかった“番長”采配
8回にもビックプレーがあった。
3番手のバルドナードは先頭の戸柱にライト前ヒットを許した。続くウェンデルケンの打席で代打に蝦名を送られると、巨人は途中出場の三塁の増田大に極端に前を守らせるバントシフトを敷いた。蝦名のバントは、投手前に転がったが、増田大が猛ダッシュしてきて処理すると、セカンドへ素早くボールを送り、一塁走者の封殺に加えてダブルプレーを成立させピンチを脱した。
試合後に阿部監督は「あの二つで勝ったようなもの。素晴らしかった」と、門脇と増田大の2つのプレーを絶賛した。
前出の評論家は、「巨人は、もうバントだと決めきった守りをしてきた。腹をくくった攻めの守備。一方の横浜DeNAにはバスターに切り替える臨機応変さが必要だった。したたかさに欠けている点が、横浜DeNAのチームとしての課題だが、こういう大事なゲームになれば、その部分が浮き彫りになってしまう。森への代打、蝦名のバスター。3位から勝ち上がり、本来、失うものがないはずの三浦監督が、阿部采配の上を行く強気の作戦を取れなかったことが明暗を分けたように感じた」と指摘した。
3連敗からの2連勝での逆王手。2012年のCSファイナルで中日に3連敗した後、3連勝で日本シリーズ進出を果たした、あの伝説の戦いを再びよみがえらせようとしている。その時のチームの4番が阿部監督だった。勢いは巨人にある。
勝った方が日本シリーズ切符を手にする今日21日の第6戦の両軍の先発は、第1戦と同じ顔合わせ。巨人が戸郷で横浜DeNAがケイ。5日前の第1戦で戸郷は、佐野に一発を浴びるなど、2失点して敗戦投手となっている。チームが作ってくれたリベンジ舞台に忸怩たる思いもあるだろう。
阿部監督は、ストッパー大勢の4連投に加え、菅野、グリフィンら先発陣を待機させ投入する考えであることを明かした。
あの1994年の中日との「10.8決戦」で、当時の長嶋監督が、槙原、斎藤、桑田の「先発3本柱」を投入して優勝を決めたゲームをほうふつさせるゲームプランだ。
「簡単には勝たせてくれないと思う。とにかく総力戦。明日、勝って日本シリーズにみんなで行きたいと思う」
阿部監督は表情を崩さずに巨人ファンに熱い約束をした。