ドラフト1位で競合必至の関大153kmサウスポー金丸夢斗は全球団OKの方針表明も意中の球団は阪神とオリックス?!
「大学2年までは口酸っぱくいって体力作りに取り組ませたが、3年になって自覚が出てきた。関大で10年、この仕事をして思ったのは1年から投げていると4年間もたない選手が多かった。しかし、金丸は体のケアを怠らなかったことで、トータルで見れば順調に来た。いい形でプロへ送り出せる」
この学年は新型コロナ禍により、春夏ともに甲子園を奪われた世代。金丸はベスト8で打ち切りだった兵庫県大会で奪三振ショーを演じて8強入りを果たし、関大の推薦枠に滑り込んだ強運児でもある。大学では、侍ジャパンにも選ばれ、井端弘和監督から、絶賛の評価を受けるなど、充実の4年間を過ごして、即戦力のナンバーワン左腕として、注目のドラフト会議を迎えることになった。
すでに全球団が最終チェックを終えている中で、この日、中日の山本将道スカウトだけがネット裏に陣取って熱い視線を送っていた。その中日をはじめ、エースの菅野智之がメジャーに流出する可能性の高い巨人、サウスポー不足に泣くオリックス、藤川新監督の下でスタートを切った阪神など、5、6球団が1位で競合する可能性がある。
その「運命の日」を前に金丸はすでに12球団と面談を終えた。基本は12球団OK。
「まだ実感はありませんが、ドラフト1位で指名されることを目標に取り組んできた。ドラ1というのは期待の大きさの表れでもあり、その期待に応えたい。指名してくれる球団が多ければ多いほどうれしいし、ありがたいです」
金丸はクジに人生を預ける競合大歓迎の姿勢を示した。
だが、意中の球団はある。今夏まで甲子園大会の審判員を務めていた父・雄一さんは「本人はできれば関西の球団がいいようですよ」と明かした。
阪神とオリックスだ。だが、一方で「いまは、そんな時代でもないですし、どこの球団もいい環境ですから。プロに入ってからの方が大切」とも話した。
金丸もこう夢を語る。
「いまは、どこの球団と言うよりもご縁のあった球団にお世話になって、そのチームの勝利に貢献し、日本一になること。その先に日の丸を背負って投げることができればいいですね」
太い眉に凜々しい目元。入学前から3年時まで関大の監督して金丸を指導した早瀬万豊前監督から「巨人の星の星飛雄馬に似ている」と言われる金丸。目指すは関大の星から日本球界の星になること。名前通りに夢はどこまでも広がる。果たして金丸を引き当てる球団はどこになるのか。
(文責・山本智行/スポーツライター)