「横浜DeNA“下剋上”真の立役者は阪神フロントだ」球界大御所が巨人と横浜DeNAのCSファイナルを大胆に振り返る
広岡氏は、その“勢い”を横浜DeNAに与えたのは、CSファーストステージで敗れたリーグ2位の阪神だと指摘した。
「横浜DeNAに勢いを与えたのは阪神だ。昨季リーグ優勝、日本一をチームにもたらして、今年も最後まで優勝争いをした、その采配力は12球団でも群を抜く岡田の退任がクライマックスシリーズが始まる前に表面化した。おまけに次の監督の藤川の名前まで出た。岡田が、自分から辞めるのなら、また話は別だが、やれ阪急だ、阪神だ、と球団の政治的な裏事情で退任することになっては、チームはバラバラになるし、岡田の持っている統率力も通じなくなる。甲子園で戦えてもそんなチームが勝てるわけがない。力が抜けているように感じたし、阪神らしい粘りが見られなかった。いったい阪神のフロントは何を考えているんだ」
広岡氏は、横浜DeNAの“下剋上”の裏の“立役者”は“名将”岡田監督に続投要請をせず、CS前に今季限りの退任が表沙汰になることを防ぐこともできなかった阪神のフロントだと断罪した。
少し無理のある3段論法ではあるが、横浜DeNAは、牙を抜かれたようになった阪神に、第1戦で10安打を浴びせて3-1で勝利すると、第2戦では、フォード、佐野の1発を含む、15安打の猛攻で10―3のワンサイドゲームで連勝して敵地の甲子園でCSファーストステージ突破を決めた。
牧が2試合で打率.625、佐野が同.444と絶好調のまま東京ドームに乗り込んで、対照的に、試合間隔が空きゲーム勘が鈍って冷え込む巨人打線を尻目に3連勝。一気に王手をかけて、その後の連敗でヒヤヒヤしたものの7年ぶりの“下剋上”を完成させたのである。
さて気になるのは26日から始まるソフトバンクとの日本シリーズである。ラミレス監督が率いた7年前も、ソフトバンクとの対戦で3連敗を喫した後に連勝したものの第5戦で力尽き、2勝4敗で日本一を逃した。今回も因縁のソフトバンクが相手。ただ7年前と違うのは本拠地の横浜スタジアムからスタートできる点がある。
それでも広岡氏の見立ては厳しい。
「ソフトバンクには横浜DeNAでも巨人が出ていても歯が立たんよ。打線、先発、中継ぎ、すべてにおいてソフトバンクは整備されていて選手層も違う。鍛えられ方が違うと言ってもいいだろう」
横浜DeNAは22日に来季の三浦監督の続投を発表した。
三浦監督は球団を通じて「今シーズン、リーグ優勝を果たすことができず悔しい思いと同時に申し訳ない気持ちでいっぱいです。それでも続投要請をいただき来年こそはと気が引き締まる思いです。まだ戦いは続くので日本一に向けしっかり準備をしていきたいと思います」とのコメントを伝えている。
(文責・駒沢悟/スポーツライター)