新生なでしこの初陣も国立に閑古鳥が鳴いた( 写真:長田洋平/アフロスポーツ)
新生なでしこの初陣も国立に閑古鳥が鳴いた( 写真:長田洋平/アフロスポーツ)

なぜ国立がガラガラ?新生なでしこJが韓国に4-0圧勝も集客できず

 

 聖地・国立競技場のスタンドはガラガラだった。正確に表現すれば、キックオフから試合終了まで、一部を除いて終始ガラガラの状態が生じていた。
 2階席と3階席はすべて無人。ゴール裏のスタンドも、アウェイチームのファン・サポーターが集う南側は人影がまばらだった。試合後半に発表された観客数は1万2420人。収容人員の6万7750人に対して、約18.33%という割合だった。
 もっとも、閑古鳥が鳴いているように映る光景は、日本サッカー協会(JFA)にとっては織り込み済みだったのかもしれない。たとえばチケットの販売概要には、前売りがはじまった7月下旬からこんな但し書きがつけられていた。
「2層と3層は、販売状況により使用の有無を判断します」
 実際に集客に苦戦を強いられてきたなかで、早々に判断が下されていたのだろう。4-0で圧勝した試合後に取材に応じた、JFAの宮本恒靖会長(47)は「そこ(2層と3層)は開けない、という前提でやっていました」と明らかにしている。
 対戦国の韓国も男子とは対照的に、女子W杯の最高位が2015年カナダ大会のベスト16で、五輪にいたっては一度も出場していない女子代表への関心は極端に低い。2022年7月以来となる、なでしことの対戦を取材した同国メディアは皆無。今月に就任したばかりのシン・サンウ監督(48)は、試合後の会見でこう語っている。
「韓国の女子サッカーが、非常に厳しい状況に置かれているのは事実です」
 こうした状況を受けて、JFAの宮本会長は「もちろん、もっとたくさんの方に来てほしい」と1万2420人という数字を受け止め、さらにこう続けた。
「来てもらった方に『よかった、いい試合だった、また見にいきたい』と思ってもらえるような試合を、なでしこの選手たちにはいつも見せてほしいと思っています。そのなかで今日に関しては、たとえば彼女たちがもっているひたむきさや、あるいは女性ならではの柔らかい技術といったものは十分に見せてくれたと思っています」
 なでしこが国立競技場のピッチに立つのは、今年2月の北朝鮮女子代表とのパリ五輪アジア最終予選第2戦以来だった。なでしこが勝利し、パリ行きの切符を獲得した大一番には、平日のナイトゲームにもかかわらず2万777人が駆けつけた。
 南側のゴール裏を埋めた北朝鮮の大応援団を差し引いても、今回の韓国戦に関しては集客面での苦戦がかねてから伝えられていた。試合4日前の段階で、メディアから状況を問われた宮本会長は「いやぁ、厳しいなぁ」と漏らしていた。
 理由はいくつかが考えられる。

 

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