新生なでしこの初陣も国立に閑古鳥が鳴いた( 写真:長田洋平/アフロスポーツ)
新生なでしこの初陣も国立に閑古鳥が鳴いた( 写真:長田洋平/アフロスポーツ)

なぜ国立がガラガラ?新生なでしこJが韓国に4-0圧勝も集客できず

 

 まずは告知不足で、韓国戦の開催自体がほとんど知られていなかった。試合実施が発表された7月23日は、スペイン女子代表とのパリ五輪グループステージ初戦の2日前。発信された情報の埋没は避けられず、JFAは試合前日の25日に当日券の販売を公式HPや公式SNSで告知したが、十分な効果はえられなかった。
 さらに監督不在という異例の状況が、コアなファン・サポーターに対して、韓国戦の開催意義を曖昧にさせた可能性も否定できない。
 JFAはパリ五輪後の8月下旬に、2021年秋からなでしこの指揮を執ってきた池田太監督(54)の、任期満了に伴う退任を発表している。JFA女子委員会の委員長を務める佐々木氏は、池田前監督との契約を延長しなかった理由をこう語っていた。
「個々の資質は非常に高い選手がそろっているなかで、今後世界を目指していくときに、そういったところに到達するために新たな人選が必要だと判断した」
 しかし、後任監督が未定のまま韓国戦を迎え、佐々木氏が女子委員長との兼任で、リオデジャネイロ五輪アジア最終予選で敗れて退任した2016年3月以来、約8年半ぶりに監督代行としてなでしこの指揮を執った。
 女子サッカーの場合、次の世界的なビッグイベントは3年後の2027年6月から7月にかけて、ブラジルで開催される次回の女子W杯となる。時間的な余裕があるなかで、宮本会長は新監督について「年内には決めたい」と語っている。外国人も対象になるのか、という問いにも同会長は可能性を否定しなかった。
 ただ、選手たちも日の丸を背負う名誉を感じつつも、中途半端な状況へ複雑な思いを抱えている。新体制下でも引き続きエースを担うMF長谷川唯(27、マンチェスター・シティ)は韓国戦後にこんな言葉を残している。
「新監督が決まれば、招集されるメンバーもがらりと変わる可能性もあるなかで、それでもなでしこの今後のコンセプト、といったものをしっかりと確認しながらピッチの上で出せた試合でした。誰が監督になるのかはわかりませんけど、今日の勢いや前から積極的にいく姿勢を次につなげていけたら、と思っています」
 最後は日本の女子サッカーの最上位リーグ、WEリーグとの兼ね合いだ。
 韓国戦が開催された26日は、WEリーグのカップ戦、クラシエカップ第5節と重複していて、合計4300人のファン・サポーターが、同カップ戦が開催された4つの会場へ足を運んでいた。佐々木氏は女子委員長の立場で、26日が国際サッカー連盟(FIFA)の定める国際Aマッチデー期間中だった点を踏まえてこう語っている。

 

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