何が明暗を?なぜ横浜DeNAは26年ぶり“下剋上日本一”を手にできたのか…「ポテンシャルを引きだした“男泣き”三浦監督と圧勝Vのジレンマに苦しんだソフトバンク」
第1戦で好投していた有原は逆にプレッシャーで力を出せなかった。
2回に筒香にチェンジアップをバックスクリーンの右へ運ばれ、先制点を明け渡すと、さらに戸柱、森に連打を浴び、二死二、三塁から“シリーズ男”の桑原に三遊間に2点タイムリーを許した。
横浜DeNAの勢いに飲み込まれてしまっていた。3回には二死一塁から変化球が抜けて宮崎にぶつけると、戸柱、森に連続四球。押し出しで1点を献上した。森がフルカウントからよくボールを見極めたが、有原の表情はこわばり、ベンチでは、なぜか小久保監督が薄笑いを浮かべていた。
ソフトバンクは4回に無死一塁からシリーズで一発のなかった柳田がバックスクリーンに2ランを放り込んだ。実に第3戦の1回以来となる30イニング目にしての得点で2点差に迫った。しかし、5回から投入された濵口が、牧原、甲斐、代打ダウンズを三者凡退に打ち取り、失いかけた流れを呼び戻す。一人を打ち取るごとに雄叫びをあげた濵口は、両手を上げて一塁側スタンドのファンを煽った。
勝負が決まったのはその5回裏だった。
横浜DeNAは、3番手のスチュワートから戸柱、代打佐野のヒットなどで満塁とすると、桑原が押し出しの四球を選ぶ。さらに梶原もタイムリー。ソフトバンクは、岩井にスイッチしたが、オースティンに押し出しとなる死球、さらに二死満塁から、筒香が左中間フェンスを直撃する走者一掃のタイムリー二塁打を放つなど、この回、スコアボードに7点を刻んだ。
ソフトバンク側から見ると第3戦で先発したスチュワートの投入とルーキー岩井への継投が誤算となった。この継投に関しては批判の声がSNSを飛び交った。人選とスチュワートの交代の遅れだ。
だが、池田氏は「杉山、ヘルナンデスを前倒しする継投もあったのだろうが、それは結果論。スチュワートの選択は間違っていなかったと思うし、藤井、松本裕というシーズンではブルペンの軸となっていた2人を怪我で欠いたことが最後まで響いたということ」という意見。
ほとんどの解説者が、ソフトバンクの圧勝を予想していたシリーズで何が両チームの明暗を分けたのか。
池田氏は「短期決戦の怖さ」というキーワードを出した。
「横浜DeNAは、個々が持つポテンシャルを発揮しシリーズを戦う中で覚醒して自信をつけてさらにもう一段階進化した。シーズン3位のチームの野球ではなかった。三浦監督がその能力を引き出したとも言える。桑原が1番で起用されたのは巨人とのCSファイナルの最終戦から。彼がそのチャンスをつかみ、攻守にわたるガッツあるプレーが導火線となり打線を爆発させた。また佐野も第5戦からスタメンから外して調子のいい選手の起用を優先した。ベンチの采配に思い切りがあった」