トライアウトでアピールに成功した人と失敗した人は誰だ?!…元ヤクルト編成部長のノムさん“右腕”がNPB復帰の可能性のある4人の名前をリストアップ
一方で2015年のドラフト1位で2017年には12勝をマークして優勝に貢献した広島の右腕の岡田明丈(31)、ロッテで2022年に59試合に登板、防御率2.08、30ホールドを残して勝利の方程式を担った東條大樹(33)の2人についての松井氏の評価は低かった。
「肘の不安はほとんどない状況。全球ストレートを投げ切ることができた」
そういう岡田は陽のアウトローに149キロのストレートを決めスイングアウト。続く巨人の左打者の前田研輝(25)もストレートでショートゴロに打ち取った。だが、松井氏は、「若い投手が多い中で、別格の投球を見せたが、まだ戻りきっていないという印象を受けた。全球ストレートで勝負していたが、押し込めていない」という見解。岡田は、2021年にオフにトミー・ジョン手術を行い、今季は1試合も1軍登板はなかった。
本拠地ZOZOでひときわ歓声が大きく、ロッテの吉井理人監督もベンチから見守る中で登板した東條は、最速147キロをマークして巨人の加藤脩平(25)をセカンドゴロに打ち取ったが、続く広島の曽根海成(29)には右中間に三塁打を浴びた。
「2年前と比べるとキレとスピードが物足りない。おそらくスライダーをマークしていたはずの曽根にストレートを打たれた。彼の武器であるスライダーはやはりストレートの力があってこそ生きるが、そこが戻っていない」
松井氏の見立ては厳しかった。
大阪桐蔭高時代に甲子園で春夏を連覇。2018年のドラフト5位で日ハムに入団した大型右腕の柿木蓮(24)も「アピールができなかった組」の一人。菊田からスライダーで三振を奪い、三好もレフトフライに打ち取ったが、「ストレートは142キロ前後しか出ていなかったし、まとまりすぎている。打者にとって嫌なボールがない。すべてが中途半端」と、松井氏は辛辣な意見。
また野手では、ロッテの菅野が自慢の選球眼で2四球を選び、走者一塁で、一塁手がベースにつくことで空いた一、二塁間を狙ったヒットや、同僚の吉田凌(27)から、ライト線に二塁打を放ち、アピールに成功したように見えたが、松井氏は、「契約するなら代打要員だが、長打はなく、なかなか獲得し辛い選手」という。
4打席立ち、2三振でノーヒットに終わった37歳の陽についても「今年はオイシックスでプレーしたので各球団の編成はしっかりと見ている。まだいけると判断するなら、7月末の期限で声がかかっているはず。年齢も含めて、納得させるだけのものをアピールできなかった」という意見。
トライアウトからNPB復帰のハードルは高いが、くふうハヤテ、オイシックスのファームにだけ参加しているチームや、独立リーグ、社会人野球などを含めると、70%近い選手が、なんらかの形で野球を続けることができているのが現状。そこからチャンスをつかむ可能性も残っている。吉報を手にする選手は果たして…。