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タイソンは序盤に往年の動きを見せかけたが3回から失速して0-3判定で完敗した(写真・AP/アフロ)
タイソンは序盤に往年の動きを見せかけたが3回から失速して0-3判定で完敗した(写真・AP/アフロ)

58歳タイソンが18発しか的中できずユーチューバーに息切れ“塩試合”で完敗も「これで終わり?そうは思わない」と現役続行を示唆。「次は兄だ」とローガン・ポールを次戦に指名

 前日計量では足を踏まれたタイソンがビンタを張って、両陣営が入り乱れる大騒動となったが、試合後、ポールはタイソンへの敬意を示した。
「彼は伝説であり、歴史上最もグレートなボクサーだ。彼がいなければ、私は今この場にいなかっただろう。彼は(ボクシング界の)アイコンであり、彼と戦えて光栄だ。地球上で最凶の男で最もいけている男。予想通りに本当にタフな戦いだった」
 そして「ノックアウトを狙っていたのか?」と聞かれ、「本当は少しばかりハードにやりたかった。ただ彼が私を痛めつけてくるのも、私が彼を痛めつけるのも怖かった。最善は尽くした」と答えた。
 リング上で並んでインタビューを受けたタイソンの言葉数は少なかった。
 それでも「今夜のパフォーマンスは満足か?」との質問に「間違いなくハッピーだ」と答え「大差の判定結果い驚いたか?」と聞かれ「ノー」と返した。
「私の感覚ではいい試合だった。彼はいいファイターだった」
――58歳の男が27歳の若者を相手に戦えることを世界の40代、50代の人たちに示したのではないか。
 この戦いの意義について話が及ぶと、「誰に対しても証明したものはない。ただ私自身にだけだ。私は世界のためにやろうとするような人間ではない。自分がやれたことに満足だ」と決して大きな話をせず、控えめに素直な心境を明かした。
 ただ試合前のトレーニング中に膝を痛めたとの情報があり、そのことを確認されると「その通りだ」と認めながらも「それを言い訳にしたくない」と潔かった。
 試合中には自分のグローブを噛む異様な仕草が何度か見られた。
「それはクセだ。私は噛むことに執着がある」
 かつてイベンダー・ホリフィールドの耳を嚙みちぎった“前科”のあるタイソンがそう説明すると会場は笑いに包まれた。
 タイソンは2005年6月のケビン・マクブライト(アイルランド)に6回TKO負けを喫して事実上引退した。15年後の2020年11月にロスのステイブルセンターで当時52歳の元世界4階級制覇王者のロイ・ジョーンズ氏(米国)との2分×8ラウンドのエキシビションマッチで復帰し、1-1の判定ドローだった。この試合が世界タイトル戦以上の人気を博したことで、米大手映像配信会社のNetflixが目をつけ、今回初めてスポーツのライブ配信に挑んだ。ただ当初7月20日に行われる予定だったが、5月にタイソンが航空機内で持病の胃の腫瘍の再発により嘔吐やめまいを起こしたために延期となった。

 

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