ドジャースのサイヤング賞左腕スネル獲得の裏に“大谷改革”
大谷は、昨年オフにエンゼルスからメジャー史上最高額となる10年7億ドル(約1078億円)の契約でドジャースに入団したが、その際、97%にあたる6億8000万ドル(約1047億円)を後払いにする異例の契約を結び、大谷の年俸はわずか200万ドル(約3億円)に抑えられ、チームに豊富な資金を残した。贅沢税のラインにも好影響を与えた。
ディラン・エルナンデス記者は、「大谷がドジャースをどれだけ変革したかがスネルと合意した火曜日に明らかになった。大谷は、前例のないフィールド上でのパフォーマンスに加えて、球団がこれまでに経験したことのないレベルの財政的柔軟性を提供した。大谷の契約の後払いと、野球界唯一の二刀流選手が生み出す収益と合わせてドジャースは手元にたくさんの現金を持った」と分析した。
「54-59」の偉業を達成した大谷は、多くの日本企業とドジャースのスポンサー契約をも引き出し、100億円を超える収益を球団にもたらしている。
同紙はマーク・ウォルターオーナーの「ショウヘイが彼の周りに最高のチームをフィールドに置くことができるように助けてくれた」というコメントと、共同オーナーのトッド・ボーリー氏の「彼は世界で最も素晴らしい野球選手になりたいと思っている。そのためには何をするか。ワールドシリーズの優勝だ。どうやってワールドシリーズで勝つのか。チームをより良くする方法を見つけることだ。彼は、その決断に至ったとき、(後払い契約で)チームをはるかに良くしてくれた」というコメントを紹介している。
同紙によると大谷の異例契約の恩恵で貯めた資金は、グラスノーをレイズから獲得した後の1億3650万ドル(約208億円)の延長契約、山本との3億2500万ドル(約500億円)の契約、テオスカー・ヘルナンデスとの2350万ドル(約35億6000万円)の契約に使われたという。
そして、今回、昨年オフから狙っていたスネルの獲得に成功したことが「チーム方針の変化を示している」という。その変化をもたらしたのが大谷というわけだ。
またさらなる補強につなげるため、スネルも6200万ドル(約94億円)を後払いにする契約となっている。交渉に乗り出したヤンキースのファン・ソトの獲得に関しても、同紙は「ドジャースがFA市場を支配している。ソトを獲得できないと誰が言えるのか」と可能性があることを示唆した。
アンドリュー・フリードマン編成本部長の「ドジャース野球の黄金時代」というコメントを引用して、同紙は「その黄金時代はまだ始まったばかりかもしれない」と記した。ドジャースの今オフの獲得リストには千葉ロッテからポスティングによるメジャー挑戦を表明した佐々木朗希の名前もある。世界一ドジャースは、ストーブリーグでも主役だ。