J1昇格最後の1枠をゲットするのは?超攻撃的サッカーと新スタジアムが武器の“本命”長崎に夏場補強に成功した山形が“対抗”…仙台と岡山は“下剋上昇格”に虎視眈々
岡山とはリーグ戦でホーム、アウェイともに引き分けた。5月の前者では後半アディショナルタイムに、8月の後者ではトップ下で先発デビューした土居の移籍後初ゴールでともに追いついている。リーグ2位の29失点と堅守を誇る岡山への対策を講じていると明かした指揮官は、10シーズンぶりとなるJ1昇格への決意も新たにしている。
「岡山さんの特徴を把握したうえで、それらをトレーニングに落とし込んでいる。われわれがどのように戦うかは、当日の試合を観ていただけたらと思う。いまはスタッフ、サポーターを含めて山形がひとつになっている空気感がある。過去と比較するのは難しいが、われわれの歴史上でもいい状態にあるのは間違いない」
2012シーズンから導入されたJ1昇格POでは、これまでに数多くの波乱が起こってきた。勝者がJ1の16位と対戦した参入PO時代を含めて、J2リーグ戦で3位だったチームが昇格したのは2015シーズンのアビスパ福岡、2017シーズンの名古屋グランパス、そして昨シーズンの東京ヴェルディの3例しかない。
逆に2012シーズンの大分、2014シーズンの山形が6位からの下剋上を果たしている。特に後者はジュビロ磐田との準決勝の後半アディショナルタイムに、攻撃参加したキーパーの山岸範宏が逆転ゴールを決める奇跡を起こして大きな注目を集めた。
昇格POのレギュレーションで、シーズンの順位が下位だった仙台と岡山は、ともに勝たなければ決勝には進めない。それでも、年代別の日本代表を長く率いてきた仙台の森山監督は、一発勝負へ向けて勝機はあると力を込めた。
「警戒しなければいけない選手やチームの特徴が本当に多すぎて……だからこそ、あまり考え過ぎずにハードワークを貫いて、我慢するところは我慢して戦いたい」
準決勝に臨むチームで唯一、J1の経験がない岡山を率いて3シーズン目となる木山隆之監督(52)も、かつて指揮を執った古巣・山形戦へ闘志を高めた。
「勝利をもぎ取るためには、自分たちの得意なプレーを長い時間出せるかどうか。いいプレーをした方が勝つ、という試合になると思っている」
リーグ戦の最終盤で圧倒的な強さを見せた長崎と山形も、約3週間におよぶ最終節以降の試合間隔で、勢いに微妙な変化が生じる可能性もある。12月1日の準決勝から、リーグ戦で上位チームのホームで行われるために、現時点では「未定」となっている同7日の決勝へ。J2が最も熱くなる最後の3試合がいよいよ幕を開ける。
(文責・藤江直人/スポーツライター)