F1角田裕毅は来季本当にレッドブルへ昇格できるのか?…立ちはだかる2つのハードル…アブダビGP後に合同テスト
その合同テストは6日から始まる今季の最終戦となるアブダビGPの2日後に、同じサーキットで行われる。しかも、角田が走らせるマシンは今年のレッドブルRB20だ。そのテストで角田がどんなパフォーマンスを披露するのか。それ如何によっては、角田がレッドブルへ移籍する可能性はある。
ただし、ある関係者は角田がレッドブルへ移籍するためには、2つのハードルがあるという。
ひとつはペレスの契約だ。チームとペレスの契約は今年までのものと、来年以降の2つがある。このうち今年までの契約はペレスに有利な条件となっており、それがシーズン中にチームがペレスを交代できなかった理由ではないかと言われている。
その契約が来年以降はチーム側に有利に見直されたようだ。これにより、来シーズンが開幕した後も、ペレスが不調のままだった場合、レッドブルは違約金を支払うことなくペレスを解雇できると噂されている。したがって、アブダビでの合同テストで角田が素晴らしい走りを披露しても、即レッドブル移籍とはならないだろうと言われている。
もうひとつのハードルは、レッドブルとホンダ・レーシング(HRC)との関係だ。F1は2026年から車体とパワーユニットに関するレギュレーションが大きく変わる。そのため、もしもドライバーを変更する場合は、1年前の2025年からチームの一員としてエンジニアたちと一緒にレースを戦い始めたい。フェラーリが2026年からではなく、2025年からルイス・ハミルトン(メルセデス)をチームに迎え入れるのはそのためだ。
レッドブルも、もしドライバーを変えるのなら、2025年からのほうがいい。だが、レッドブルがHRC製のパワーユニットを搭載するのは2025年限り。ホンダの育成システム出身で、いまなおホンダからのサポートを受けている角田の起用に難色を示すのは当然だろう。特にホーナー代表が角田をあまり高く買っていないのは公然の秘密となっているほどだ。
しかし、最も速いマシンではなくなってしまったレッドブルには、純粋な能力以外でドライバーを選ぶ余裕がもはやなくなっていることも事実だ。ペレスの不調が来年も続けば、レッドブルが大ナタを振るうことは十分に考えられる。そのとき、レッドブルは誰を迎え入れるのか。候補は3人。ひとりは角田。もうひとりは角田のチームメートのリアム・ローソン。そして3人目が現在ウイリアムズからF1に参戦しているフランコ・コラピントだ。
ドライバーズチャンピオンはフェルスタッペンで決定したが、そのフェルスタッペンのチームメートに誰が収まるのか。戦いはまだまだ続きそうだ。
(文責・尾張正博/モータージャーナリスト)