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WBO世界バンタム級王者の武居由樹がイブ決戦を前に練習を公開した(写真・山口裕朗)
WBO世界バンタム級王者の武居由樹がイブ決戦を前に練習を公開した(写真・山口裕朗)

なぜV2戦を前にWBO王者の武居由樹は対戦を熱望する那須川天心に「もう1本ベルトを持って来い」と過激な要求を突きつけたのか?

 

 この挑戦者は好戦的に前に出てくるので意外と早いラウンドでのKO決着もあるのかもしれない。そして武居には絶対に負けられない理由がある。
 大橋会長が言う。
「来年に向けて戦うべき相手がいるので負けられない試合」
 戦うべき相手…武居が対戦ラブコールを送り続けている天心だ。
 ただ武居が差し出した左手を“恋人”は握り返してくれなかった。
 できれば来春にも挑戦者として迎え入れたい気持ちで10月の天心のWBOアジアのタイトル戦をリングサイドで見守ったが、天心からは「まだまだ強くなるんで、もうちょっと待ってください」との返答。実現は来年の秋以降に持ち越された。
「なんかふられたんだろうなと。ちょっとガッカリ。引き寄せるものがあれば、いつか巡り合わせもある。そこに期待。まずは(今回の防衛戦に)勝たないと何も始まらない」
 素直にそう思いを明かした武居は、「待っているなら、お前、もう1本(ベルトを)持ってこい」と過激な要求をつきつけた。
 もう1本のベルトは、世界のベルトを指しているだろうか。現在4本のバンタム級のベルトはすべて日本人が独占しているが、天心が武居との世界戦までに残りの3人に挑戦する可能性は薄い。ただ来年2月末に試合を行う予定の天心の対戦候補にOPBF東洋太平洋バンタム級王者の栗原慶太(一力)の名前も挙がっている。武居が示す「もう1本」は、「そこで負けるなよ」のメッセージなのかもしれないし「この対決を互いに盛り上げよう」という意思表示なのかもしれない。
 大橋会長は「天心がもうちょっと待ってくれと言っているので、待つよね?」と、隣に座った武居に問いかけ、武居は「はい!」と返した。
 武居自身も、来年の天心戦までにV3、V4と重ねなければならない。天心へのメッセージは「オレも負けない」という自らへのプレッシャーでもある。
 では、逆に武居が統一戦に乗り出し、天心戦までにもう1本ベルトを増やしておく可能性はどうなのだろうか。
 WBC王者の中谷潤人(M.T)とWBA王者の堤聖也(角海老宝石)は、来年2月末にそれぞれ違う相手とダブル防衛戦を行う計画がありタイミングが合わない。しかも、中谷は2025年の年末に井上尚弥と究極の日本人対決を行う可能性があり、堤には、ベルトを奪われた井上拓真がリベンジを目論んでいる。
 タイミング的にも状況的にも15日に大阪で武居と同じくタイ人と初防衛戦を行うIBF王者の西田凌佑(六島)が絶好のターゲットになりそうではあるが、武居は、「試合があるのは知っているがあまり気にしていない」と興味を示していない。大橋陣営にも現段階で西田との統一戦は視野にはない。
 ただ「チャンピオンとしては比べられる。内容では勝ちたいと思っている」と4人いる世界王者の一人としてライバル心もちらつかせた。
「成長ができて自信もつかんだ。最高の1年だったと言えるようにしっかりと勝ちたい。ファンの期待を裏切らないようにいいクリスマスイブを届けたい」
 モロニー、比嘉との2試合でボクサーとしての確かな実力を示した武居が、イブ決戦では、衝撃を与え、大ブレイクするきっかけをつかむのかもしれない。

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