JBC&JPBAボクシング界がRIZIN大晦日のライアン・ガルシアら現役ボクサーが大挙出場のエキシを問題視…「誤解を生むボクシングの類似イベントは看過できない」
大晦日に開催される総合格闘技イベント「RIZIN DECADE」(さいたまスーパーアリーナ)で、元WBC世界ライト級暫定王者のライアン・ガルシア(米国)ら5人の現役の海外ボクサーが出場する事実上のボクシングルールによるエキシビションマッチを日本のプロボクシングを統括するJBC(日本ボクシングコミッション)と全国のプロジムを束ねる親睦団体のJPBA(日本プロボクシング協会)が問題視した。JBCの実行委員会で議題にあがり今後なんらかの抗議アクションを検討することになった。
井上尚弥の便乗マッチメークにも違和感
プロボクシング界が抗議の声をあげた。
RIZINは大晦日大会の北米向きの1部でドーピング問題でニューヨーク州のアスレチックコミッションから出場停止処分を受けているガルシアと元K-1王者の安保瑠輝也のエキシビションマッチをメインに、元5階級制覇王者、フロイド・メイウェザー・ジュニア(米国)の秘蔵っ子のカーメル・モートン(米国)対IBFアジアライト級王者のアルバート・パガラ(フィリピン)、元IBF、WBA世界スーパーウェルター級王者でフェリックス・トリニタード(プエルトリコ)やオスカー・デラホーヤ(米国)との名勝負を演じた“レジェンド”フェルナンド・バルガス氏(米国)の次男であるアマド・バルガス(米国)対ライアン・ガルシアの弟のショーン・ガルシア(米国)の2カードを追加発表した。いずれもRIZINスタンディングバウトルールによる判定無しのエキシビションマッチで、ライアン×安保は2分×8ラウンド、他の2試合は3分×8ラウンドで実施される。
今回のイベントは米の配信会社「FANMIO」が全米にPPV配信するため米国向けのマッチメークとしてボクシングの試合が多く組まれた。榊原信行CEOは、「1部はボクシングに寄せている。井上尚弥の試合を24日に見た後の大晦日。井岡(一翔)の世界戦も裏に入っているが、これまでのRIZINのファンにない、ボクシングファンに興味を持ってもらえるのでは?というショーケース」と発言するなど、ボクシングファンの獲得を目的としたものでもある。
これまでもRIZINのリングでメイウェザーが那須川天心、朝倉未来と3ラウンドのエキシを戦い、この7月には安保が元6階級制覇王者のマニー・パッキャオ(フィリピン)と同じく3ラウンドのエキシで対戦してドローに持ち込む大善戦を見せて海外メディアも大きく報じたが、出場したのは、ビッグネームとはいえ引退したボクサーであり、相手がキックボクサーや総合格闘家であることから、JBCも黙認してきた。
だが、今回のカードには、現役ボクサー対現役ボクサーがあり、しかも3ラウンドではなく、8ラウンドのエキシとなるともう事実上ボクシングだ。5日に開催されたJBCとJPBAの実行委員会の中でも、この問題が議題にあがった。
JBC関係者は、「RIZINスタンディングバウトルールとされていますが、ボクシングという名称を出さないだけど、現役のボクサーが出て、しかも3分8ラウンド。事実上のボクシングです」とした上で、こう続けた。