JBC&JPBAボクシング界がRIZIN大晦日のライアン・ガルシアら現役ボクサーが大挙出場のエキシを問題視…「誤解を生むボクシングの類似イベントは看過できない」
今年5月にスーパーバンタム級の4団体統一王者の井上尚弥が、マイク・タイソン(米国)とジェームス“バスター”ダグラス(米国)の“世紀の番狂わせ”以来、34年ぶりに東京ドームでボクシング興行を行い、11月にはサウジアラビアの国家プロジェクトであるエンターテインメント事業「リヤドシーズン」と推定30億円のスポンサー契約を結んだ。パウンド・フォー・パウンドとして世界から評価され、LeminoやAmazonプライムなどの配信会社が参入するなど、ボクシング業界に一大ムーブメントを引き起こしている。
井上自身も「ドームから、初めてボクシングを見る人が増えてもらえたと思う」との手応えも口にしていた。モンスターの活躍によって人気もレベルも急上昇し、バンタム級の4つの世界タイトルを日本人が独占するなど注目を集めだしたボクシングに乗っかったような今回のRIZINのマッチメークに「井上の本物のボクシングとごっちゃにされては迷惑だ」との声がジム関係者からも湧き上がっている。
さらに今回は、その井上が2019年にノニト・ドネア(フィリピン)と対戦する際に“仮想ドネア”としてスパーリングパートナーを務めていたパガラが、モートンの対戦相手に指名されるなど、井上人気に便乗した試合が組まれたことに大橋ジムの関係者も違和感を抱いている。
今後「RIZIN DECADE」に元世界王者クラスの“ボクシングマッチ”が2カード追加発表される予定で、その出場選手の候補として、井上のスパーリングパートナーで世界戦の経験もあるもジェネシス・セルバニア(フィリピン)がリストアップされているとの噂も飛び交っていて、なおのこと不信感が高まっている。
決して既得権益を守ろうとしているわけではない。ボクシング業界が訴えるのは、類似イベントの危険性と本物のボクシングに及ぼす悪影響だ。
(文責・本郷陽一/RONSPO、スポーツタイムズ通信社)