「謝罪だけでは済まされない」日本ボクシング連盟でまた内紛騒動?!元世界王者が怒りの提言…裁判所が12月15日予定の“やり直し”臨時総会に「ノー」を突きつけた理由とは?
アマチュアボクシングを統括する日本ボクシング連盟でまた内紛騒動が持ち上がった。6年前に“ドン”故・山根明氏を追放して新しく生まれ変わったはずの連盟で2年前の総会での理事の選任を巡って、上告が最高裁で棄却されるまでの法廷闘争が起き、連盟側が敗訴。その判決を受けて12月15日に臨時総会を開き、その理事選任の手続きをやり直し、前体制の理事会決議事項の再承認を図る方針でいたが、裁判所が「ノー」を突きつけて来年3月15日に延期されることになった。
頓挫した次世代判定システムと代表強化体制を問題視
アマチュアボクシングの連盟内部がゴタついている。
「お詫び、謝罪だけすれば済むという話ではない」
怒りの声をあげたのが、中島成雄氏だ。元WBC世界ライトフライ級王者で、アマチュア復帰後、駒大の監督や総監督、県や学生連盟の役員を長く務め、現在は茨城県連盟会長、関東学生連盟理事長などに就いている70歳になる重鎮だ。
怒りの経緯を説明するとこうだ。
連盟の新体制がスタートしたのが7月。前体制の任期終了に伴い、新たな理事を19人選任して仲間達也氏が新会長に就任した。“ドン”故・山根氏の“独裁体制”をひっくり返す大改革の旗振り役で、3期6年会長を務めた内田貞信氏が出馬せず、理事の顔ぶれも変わり、前体制で専務理事だった仲間氏が14代の新会長に選出された。ドクターでもあり、管理能力にも優れている仲間氏は、今後のアマチュアボクシング界の発展のために4つの指針を明かした。しかし、その直後に最高裁に上告するまでもつれていた法廷闘争での敗訴が確定した。
2022年6月の定時総会で、24人の理事を候補者ごとの採決ではなく一括承認で決めたが、連盟の正会員の一人である中島氏がその手続きが定款に反した不当なものであるとし、取り消しを求める訴訟を起こした。
東京地裁が決議の取り消しを命じ連盟側は控訴したが、東京高裁も一審判決を支持、最高裁は上告を棄却していた。この判決を受けて仲間会長は、「認識が甘かった。申し訳ない。今後は真摯に対応したい」と、原告の中島氏に謝罪し、裁判所の決定に従い、法的な違反を解消するため、12月15日に臨時総会で2022年の前理事の選任をやり直し、前体制の理事会での決議事項の承認をもう一度、臨時総会に図ることを明かした。連盟側はそれらの手順を裁判所に提出したが、裁判所が「ノー」を突きつけた。その大きな理由のひとつが原告である中島氏の「合意」をとりつけていないことだった。
あわてた連盟側は弁護士を交えて中島氏と2度、協議をしたが、合意に達することができず、12月15日に予定していた臨時総会は来年の3月15日までに延期となった。
中島氏は「裁判所は、連盟に『原告とはちゃんと話ができているか?』と命じ、連盟側は『合意できる』と言ったらしいが、私はなんの合意もしていない。お詫びだけを何回もすればいいという問題じゃない」と明かし合意できなかった理由を力説した。
「そもそも違法なことをやっていたのに控訴することが間違っていた。きちんとしなきゃいけない問題を総括できていない。誰が責任をとるのか、という問題が残っている」