「内部の混乱を感じさせる」SNS“大荒れ”アピスパ福岡の金明輝氏の16日監督就任会見リリースでまた物議…一部スポンサー撤退も
一部のサポーター団体から監督就任の白紙撤回を要求されながら、複数のパワーハラスメント歴のある金明輝新監督(43)の就任を強行発表したJ1のアビスパ福岡が、16日に同氏の就任会見を行う運びとなった。さまざまな批判を浴びた発表から、一夜明けた14日になってからの会見開催告知は、対応が後手を踏んでいるとしてSNSが再び炎上した。福岡を11年間支えてきたスポンサーが13日付で契約の新規更新を見送ると突然発表するなど、指揮官交代を発端とする騒動はさらなる広がりを見せている。
後手を踏む球団フロントの対応と「一部報道でご存じ」の一文
福岡のクラブ公式X(旧ツイッター)へのポストが再び批判を招いた。
前日13日の夕方に、福岡は来シーズンの新指揮官としてサガン鳥栖の元監督で、今シーズンまでFC町田ゼルビアのヘッドコーチを務めた金氏の就任を発表。これを報じた記事のなかには、16日の記者会見開催に言及したものもあった。
これを受けて福岡のポストは冒頭で次のように綴られている。
「すでに一部報道でご存じの方もいらっしゃると思いますが、週明け月曜日に新監督就任記者会見を以下のメンバーで実施いたします。(中略)新体制に向けてどうぞよろしくお願い申し上げます」
記者会見に臨むのは福岡の川森敬史会長(59)と柳田伸明強化部長(54)、そして新監督の金氏の3人となる。昨年4月に新社長に就任した、ジェフ市原やサンフレッチェ広島、ドイツでプレーした経験をもつ結城耕造氏(45)は登壇しない
13日のリリースでは、トータルで400文字を超える金氏のコメントが掲載されただけだった。クラブの考え方や招聘の経緯などはいっさい記されないまま、冒頭部分で次のように当たり障りのない言葉が添えられただけだった。
「新体制のもと、クラブのさらなる成長と飛躍を目指してまいります。新たな挑戦に向けて、引き続き、皆さまの温かいご声援をよろしくお願いいたします」
福岡の新監督を巡る騒動が起こったのは11月4日。2020シーズンから指揮を執り、クラブのJ1昇格および定着と、昨シーズンのYBCルヴァンカップ制覇で初タイトルをもたらした長谷部茂利氏(53、川崎フロンターレ新監督)の後任として、一部スポーツ紙で金氏の就任が決定的と報じられてからだった。
金氏に関しては2021年の年末に、鳥栖および鳥栖U-18の監督時代におよんでいた複数のパワハラ行為が判明。未成年の高校生も対象になっていた事態を重くみた日本サッカー協会(JFA)は、同氏が保持していた最上位の公認指導者S級ライセンスを、ひとつ下のA級コーチジェネラルへ降級させる前例のない厳罰を科した。
さらに指導者資格そのものも1年間停止。JFAが定める社会奉仕活動や研修への出席も義務づけられた金氏は、昨シーズンに町田のヘッドコーチに就任。高校サッカー界の強豪、青森山田から転じた黒田剛監督(54)を主に戦術面でサポートしながら、今年2月には約1年をかけてS級ライセンスを再び取得していた。
町田のJ1初昇格や今シーズンの3位躍進に貢献した金氏が、Jクラブの指揮を執るうえで資格面での支障はなくなっていた。しかし、最初の報道を受けて福岡最大のサポーター団体、ウルトラオブリが緊急声明を表明。クラブの理念に反しているとして、パワハラ歴のある金氏招聘の白紙撤回を要求するなど前代未聞の騒動が勃発した。
福岡はその間、後任候補の具体名には触れずにクラブのスポンサー企業への個別の問い合わせなどを控えてほしいと要請。新監督に関してはシーズン終了後に発表する、としていたなかで実質的な強行発表に至っただけに、クラブの考え方や金氏を後任に決めた理由が語られる記者会見は、ようやく開催されるという感が強かった。