「マー君は巨人で何勝もできない。日本の宝に最後の舞台をという球界の盟主の責任感だったのだろう」大物OBが田中将大のジャイアンツ移籍濃厚にモノ申す
楽天を自由契約になった田中将大(36)の移籍先に巨人が濃厚となった。複数の関係者が明かしたもの。古巣の日米通算200勝まで残り3勝のレジェンド右腕の獲得の動きを巨人OBでヤクルト、西武で日本一監督となった球界大御所の広岡達朗氏(92)はどう感じたのか。
「若い芽が出てきたときにベテランを取る意味があるのか」
巨人の「マー君獲得報道」を目にした広岡氏の第一印象は「ようわからん」。そして次に「自然の法則。年齢には勝てん。もう何勝もできんよ。せっかく戸郷、山崎、井上ら若い芽が出てきたときにそういうベテランを取る意味があるのか」との辛辣な意見を述べた。
今オフのストーブリーグで巨人は積極的に動いた。FAでは、阪神の大山悠輔の獲得に乗り出し、ソフトバンクの石川柊太にも触手を伸ばした。だが、大山は阪神残留、石川はロッテに奪われた。その一方で中日の絶対守護神のライデル・マルティネスの獲得に成功し、ソフトバンクからFAの甲斐拓也の巨人入り決断との一部報道もある。
「大山は阪神に残って良かったと思っている。語り継がれるプロ野球の伝統の一戦を戦う巨人と阪神の間で、そういう移動はあってはいかん。結果的に巨人は大山、石川も取り逃がした。甲斐の可能性はまだ残っているそうだが、ハッキリ言ってFA戦略は失敗だ。その影響もあって田中の獲得に興味を抱いたのだろう」
巨人を愛するがゆえに辛口になる広岡氏だが、話が熱を帯びるに連れ、珍しく?「球団や阿部の狙いがわからないわけではない」と、マー君の獲得方針に理解を示した。
「いくら金ではないとはわかっていても、どこの球団も手を出せなかったんだろう。田中は楽天で投げまくって24勝0敗して日本一に貢献した。メジャーでも名門のヤンキースでフル回転した。日米200勝に残り3勝。野球界の大功労者の願いを達成させてやりたい、現役続行を希望している球界の宝みたいな選手にこのままユニホームを脱がせてはならないという巨人の盟主としての責任感なんだろうと思う」
当初、興味を示すと思われていたヤクルトが撤退。メジャーから凱旋帰国したもののソフトバンクで1試合しか投げることをできなかった松坂大輔氏を引きとり、復活させた中日もオファーを出さなかった。あまりにもビッグネームであり、現在の力量に疑問符もついているという状況も手伝い、どこも獲得する球団がなく、引退せざるを得ない危機に陥りかけていた。
広岡氏が指摘するように、巨人はプロ野球界の盟主としての責任を感じて、マー君に最後の舞台を用意しようとしているのかもしれない。
さらに広岡氏はチームへの“マー君効果”も期待できると指摘した。
「昔の顔でチームに刺激を与えて欲しいとの期待はあると思う。キャンプから間違いなく注目は集めるだろうし、その波及効果は出る。あれだけの経験と実績、そして野球に取り組む姿勢を若い選手に見せて欲しいという狙いはあるのだろう。田中の意地や、経験が凝縮して結果となって発揮されればいい。心配なのは一昨年オフに手術した肘がどれだけ回復しているか。そのあたりはちゃんと調べたんだろうな?とフロントに念は押したいがね。何勝もするとは思わんが200勝はできるだろうし、思いの他、いい結果を出すのかもしれない」