まるで交換トレード?ソフトバンクは巨人にFA移籍した甲斐拓也の人的補償でプロテクトを外れる可能性の高い小林誠司を指名すべきか?
巨人は17日、ソフトバンクからフリーエージェントを行使していた甲斐拓也捕手(32)と契約合意したことを発表した。今季のゴールデングラブ賞捕手を失ったソフトバンクは大きな痛手だ。ただ甲斐は「Bランク」だと考えられているため、人的補償が発生する。もし巨人の28人の人的補償のプロテクトから小林誠司捕手(35)が外れた場合、ソフトバンクは甲斐の代役として指名すべきなのか。
ソフトバンクは正捕手が消えて窮地
ソフトバンクの側から見れば“甲斐ショック“と言っていい。チームの“扇の要”である正捕手の巨人への流出が決まったのだ。ソフトバンクは、引き留めのために大型契約を提示したそうだが、巨人の条件はそれを上回っていた。
育成ドラフトからソフトバンクに育てられ“世界一捕手”にまでになった甲斐にしてみれば、難しい決断だったに違いない。
球団を通じて発表したコメントにも「ホークスでの全ての経験を思い返すたびに、本当にホークスを離れていいのか、自問自答を繰り返しましたが、今回、新たな経験をすることで野球選手としての自分をもっと高めたい、という心境に至り、移籍することを決めました」との心情を綴っている。
だがFAは選手の権利。より評価の高いチームを選択するのは当然だろう。
現役時代にタイトルの獲得経験のある野球評論家の一人は「ソフトバンクにとっては、来季のペナントレースの行方さえ左右する大問題。次が育ってきているのならまだしも甲斐一人に頼りきっていた状態だっただけに、痛いとか、ダメージとかいう言葉で表現できないほどの危機的な戦力ダウンでしょう」と評した。
説明するまでもなく、甲斐はゴールデングラブ賞を7度、ベストナインを3度受賞の球界を代表する捕手。侍ジャパンでもマスクをかぶり東京五輪では、チーム最高の打率.385で金メダル獲得に貢献、大谷翔平を擁して優勝した昨年のWBCでも主戦捕手の一人として世界一を支えた。今季も102試合に先発マスクをかぶり、119試合に出場して打率.256、5本塁打、43打点の好成績を残した。
打率は2019年の.260に次ぐキャリア2番目の数字で、本塁打は昨年の10本から5本減ったが、二塁打は16本から25本に急増、これはキャリアトップの数字でずっと課題とされていた打撃面に改善が見えた。今季の盗塁阻止率は.284でリーグ5位だったが、7度目のゴールデングラブ賞を獲得するなど“甲斐キャノン”は健在だ。その甲斐が、来季のリーグ連覇、そして日本一奪還を目指すソフトバンクからいなくなる。