井上尚弥と中谷潤人の究極の日本人対決は2026年までお預け?大橋会長がグッドマンの負傷で10日前に1月24日へ延期となった激動舞台裏とモンスターの次なるプランを明かす
プロボクシングのスーパーバンタム級4団体統一王者の井上尚弥(31、大橋)の24日に予定していた防衛戦は挑戦者のIBF&WBO同級1位サム・サム・グッドマン(26、豪州)の左目上の負傷で来月1月24日(有明アリーナ)に延期になったが、不測の事態に備えて、リザーブ選手を用意、さらに2025年には、米国、サウジアラビアでの海外試合も含めて3試合を行い、WBC世界バンタム級王者の中谷潤人(26、M.T)との究極の日本人対決は2026年になることが明らかになった。大橋秀行会長(59)が示唆したもの。モンスターの2025年は延期となったグッドマン戦を皮切りに絶対に負けられない戦いが続くことになる。
「ああそうですか。全然OKです」3時間半で善後策に動く
本当ならこの日はグッドマンの公開練習日だった。それがまさかのグッドマンの左目上のカットで防衛戦そのものが延期となり、しかも、WBO世界バンタム級王者の武居由樹が右肩を痛めるアクデントまで起きて、1月24日の井上のアンダーカードに出場できなくなったことを報告する会見となった。
大橋会長も「傷心ですよ」と胸を痛め、延期による経済的被害もあり「大変ですよ。察して下さいよ。もうお祓いをしようと思ったくらい。でもピンチはチャンス。昔からそうしてきた」と、気持ちを切り替えることに懸命だった。
あの激動の1日についても初めて明かした。グッドマンが14日に現地豪州での最後の公開スパーリングで左目上をカットして流血、4針を縫う緊急事態が起きた。来日する予定の前日の出来事だった。大橋会長曰く、グッドマン自身は「絶対に日本に来る」と、強行する決意でいたそうだが、グッドマンのプロモーター、スタッフ、そして何より大橋会長自身が「無理」と判断して緊急善後策に動いた。
当初は延期ではなく代役を立てるつもりでいた。すぐさま「名前は言えない」(大橋会長)対戦候補に連絡をとり、その幻の挑戦者自身は承諾し「9割方決まっていた」(同)が、相手の陣営が、モンスターにたった10日間の準備期間で挑むのは無謀だとストップをかけて断りが入った。ここで24日の防衛戦は延期することとなり、グッドマン陣営は、傷が治る猶予期間として「4週間」と伝えてきたため、大橋会長は、そこから、帝拳プロモーションとも連携して、会場の手配、飛行機や、宿泊先のキャンセル、オフィシャル、アンダーカードの陣営への連絡などすべての対応、手配を3時間半で終えた。
「会場が空いていたのが奇跡ですよ」
井上に連絡を入れると「ああそうですか。代役?全然OKです」というアンサー。大橋会長は、「えええ?」という戸惑いのリアクションがあって当然と考えていたが、「あの前向きさは凄い」と驚かされた。その後、代役の手配がダメになり、1月24日に延期となったことを伝えてもまったく動じていなかったという。
むしろ「ちょうど1か月、いい練習期間になった」とのポジティブさで、すでにスパーリングは打ち上げて体重調整を残すのみだったが、その日、さっそく日本フェザー級王者の松本圭佑とスパーリングを行ったという。
また大橋会長は改めて元全米アマ王者のジャフェスリー・ラミド(米国)を再びスパー相手として年内に来日させる手配を終えた。
ただもう1月24日の再延期は行わない。大橋会長は、不測の事態に備えてリザーブボクサーを用意してリザーブファイトを組み入れる構想を明かした。5月6日の東京ドーム決戦でも、挑戦者の“悪童”ルイス・ネリ(メキシコ)に体重超過の危険性があったため、元IBF世界同級王者のTJ・ドヘニー(アイルランド)をリザーバーとして用意していた。