「まだ半人前の佐藤輝明までメジャー希望?」「ポスティング制度は見直すべき」メジャー挑戦要求の選手続出で事実上海外FA制度崩壊…“上沢問題”も浮上で球界大御所がモノ申す
広岡氏の指摘通り、事実上、海外FA制度は崩壊したと言っていい。侍ジャパンに選ばれるトップスターが、次々とメジャーへ流出することで、NPBの“空洞化”が危惧される事態にもなっている。
そしてさらなる問題も浮き彫りになった。
昨年オフに日ハムからポスティングでメジャー挑戦した上沢が、1年で日本球界に戻ることになり、古巣の日ハムではなくソフトバンクと契約したのだ。上沢は、レイズとマイナー契約を結んだが、開幕メジャー入りを逃し、その後にレッドソックスに移籍してメジャーで2試合に登板し0勝0敗、防御率2.25の成績に終わっていた。上沢が純粋にメジャーへ挑んだことは間違いないが、メジャーを経由すると自由契約となり、たった1年で自由に国内の12球団への移籍が可能になるのだ。
FAと違い、金銭、人的補償の必要もない。まだ悪質な例は出ていないが、完全な制度の抜け穴で、希望球団に移籍するためにメジャーを隠れ蓑に使うことだって可能になる。
広岡氏はこのメジャーからの“出戻り”を特に問題視している。
「そもそもメジャーで通用しなかった選手が日本のプロ野球に戻るときに分相応ではない条件を示して争奪戦になることが間違っている。楽天の田中将大が巨人と契約したそうだが、ヤンキースから楽天に戻る際に驚くような条件で契約したことが悲劇を生んだのだ。まして、マイナーでもダメだった上沢が、たった1年で日ハムではなく、ソフトバンクと好条件で契約するなど論外。ポスティング制度の問題点が、あからさまになったではないか。今オフも多くの選手がメジャーに出ていくが、将来的に日本に帰ってくる際に備えて、なんらかのちゃんとしたルールを作っておく必要があるのではないか。現役ドラフトなど、埋もれた選手にチャンスを与える評価できる制度も作ったんだから、メジャー移籍やポスティングに関する制度の見直しもできるはず」
広岡氏は、具体的にどう制度を見直すべきかを口にしなかったが、制度上の欠陥は解消すべきだろう。選手がメジャーという高みを目指すことは、技術の向上にもつながり、ひいてはチームへ還元されることでもある。その姿勢を応援するファンも少なくない。ただ海外FA制度は、もう事実上崩壊している。ポスティング制度も含めて、もっとオープンにメジャー移籍のシステムについて議論を重ねる必要があるのかもしれない。(文責・駒沢悟/スポーツライター)