「井上尚弥の何が凄いって…距離感と迷いのなさ」井岡一翔が大晦日決戦6日前のクリスマス夜に異例の1時間インスタライブで5階級制覇など“禁断の話題”について語り尽くす
大晦日にダイレクトリマッチ(大田区総合体育館)を控えた元4階級制覇王者の井岡一翔(35、志成)がクリスマスに試合前としては異例の1時間に及ぶインスタライブを都内の自宅から行った。7月に判定で敗れたWBA世界スーパーフライ級王者、フェルナンド・マルティネス(33、アルゼンチン)との対戦を前に「必ずチャンピオンに返り咲く」という決意と共にスーパーバンタム級の4団体統一王者の井上尚弥(31、大橋)との対戦シミュレーションや日本人初の5階級制覇となるバンタム級への挑戦の可能性などについても語り尽くした。
「5階級制覇は考えにないが盛り上がるだろうね」
井岡ファンにとっては最高のクリスマスプレゼントだったのかもしれない。ダイレクトリマッチを6日後に控えた12月25日の午後9時過ぎ。2人の息子さんが寝静まった自宅の高層マンションから異例とも言えるインスタライブを敢行した。「もう寝る準備万全」と、ユニクロのスウェット姿で登場した井岡は、オーガニックのハーブティーを飲みながら、実にリラックスした表情で、しかも、約1時間にわたって、ファンの質問に答える形で思いを語り尽くしたのだ。
最初は、どこか堅かったが、妻の恵美さんがインタビュアーに回ってから、一気に表情が崩れ、素に近いリアルトークを展開した。これからは記者会見の司会は、妻の恵美さんに任した方がいいのかもしれない。
井岡は、「勝つ自信なければ、この試合には挑戦はしない。何度も立ち上がる姿を証明してみせる」と、すでに来日しているマルティネスとのダイレクトリマッチへの決意を口にした。短く、金髪に染めた髪型の理由も話題になった。7月の統一戦では、長い髪がパンチを浴びる度にバサッと揺れて「見栄え」の点でジャッジへの印象が悪くなったことをイスマエル・サラス・トレーナーにも指摘され、今回は短くしたことを明かした。
細心の努力を怠らず、やれることをすべてやって望む姿勢なのだ。
また井岡の代名詞でもあるディフェンスの極意についても「相手との距離感。それが攻防のすべて。どう自分の距離で戦い、相手の間合いを外すかが大事。(間合いが取れれば)体の位置、頭の位置でパンチを外せる。数センチで距離を外せる。相手の間合いを早いラウンドで読めれば支配できる」と明かし、「マルティネス戦ではディフェンスがダメだった」と突っ込まれると「バレました?」と笑い、敗戦理由についても言及した。
「そこに着目していなかった。あえてそこの勝負じゃなく相手の長所を潰しにいった。そこで叩ける自信があった。どんどん潰して、そこからボクシングを展開しようと思ったが、ひとつのことにとらわれているうちに、あれよ、あれよと、ラウンドが進んで、いい展開にできなかった。手応えはあったが、ジャッジの見方も違う。自分のボクシングができなかったことが、前回の負けの大きな原因」
面白かったのは5階級制覇の可能性と「もし井上尚弥と戦うとすれば?」の2つの質問に答えた場面だ。これも妻の恵美さんの聞き方が絶妙で、井岡も心を開いて本音で応じた。
「5階級制覇をするなら誰と戦いたい?」のストレートな質問に「考えたことはない」と即答すると、ボクシング事情にそう詳しくない妻に「今(バンタム級は)全員世界チャンピオンが日本人。堤(聖也)選手、武居(由樹)選手、西田(凌佑)選手、そして中谷潤人選手。日本人ばかり」と丁寧に、WBA王者の堤、WBO王者の武居、IBF王者の西田、WBC王者の中谷と、バンタム級の4団体の世界王者の名前を全員出して説明した。