「甲斐はソフトバンクを出るべきではなかった」巨人大物OBが“世界一捕手”甲斐拓也のジャイアンツへのFA移籍にモノ申す
広岡氏は「巨人に甲斐は必要ではない」との持論を展開させた。
「大城(卓三)の残留も決まり、岸田(行倫)、小林(誠司)と3人も捕手がいるじゃないか。補強ポイントはそこじゃない。しかもパ・リーグでプレーしていた甲斐はセ・リーグの打者も巨人の投手も知らない。インサイドワークで力を発揮するには時間もかかる。打つ方もレギュラーシーズンでは結果を残しているが、ノーヒットに終わった日本シリーズのバッティングを見る限り、そう期待は持てない」
巨人は今季、岸田行倫が72試合、大城卓三が34試合、小林誠司が36試合で先発マスクをかぶり、3人を併用した。正捕手は岸田、攻撃型布陣を組む際には大城、菅野の先発では小林と使い分けていた。岸田は盗塁阻止率もリーグトップの.475で、打撃では、打率.242、4本塁打、26打点の数字を残したが、リード面などを含めた総合評価として捕手出身の阿部監督には、帯に短しタスキに長し…で物足りなかったのだろう。
一方の甲斐は、侍ジャパンの正捕手として東京五輪、WBCでチームを支えた世界一捕手。今季は102試合に先発マスクをかぶり、119試合に出場して打率.256、5本塁打、43打点の好成績を残した。盗塁阻止率は今季.284でリーグ5位と下がったが、“甲斐キャノン”は健在で、7度目のゴールデングラブ賞を受賞している。何しろインサイドワークが優れている。阿部監督は、山崎伊織、井上温大ら若手が多い投手陣をリードしてもらいたいとの期待があるのだろう。だが、甲斐が100試合を超えてマスクをかぶるとなると、一塁が守れる大城はまだしも、岸田の出場機会は激減するだろう。また専属捕手としてコンビを組んでいた15勝3敗の菅野智之がオリオールズと契約して、いなくなったことで居場所のなくなった小林は、Bランクと見られている甲斐の移籍で発生するソフトバンクへの人的補償の候補になるのかもしれない。つまり甲斐の加入は刺激にもなるしハレーションにもなる。
2025年のシーズンが終わったとき、広岡氏に「甲斐を取ってよかったな」と発言させるだけの結果を残すことに期待したい。
(文責・駒沢悟/スポーツライター)