まさかの0勝11敗に終わった西武の高橋光成は復活できるのか…「彼自身にも弱い部分があった」西口文也新監督が指摘する再浮上のポイントとは?
今季は指揮を執って2年目の松井稼頭央監督(49)が5月に休養し、渡辺久信GM(59)が監督代行を兼任する形で現場復帰を果たしたものの、最後まで最下位から抜け出せなかった。5位のオリックスに14ゲーム差をつけられたチームを率いる西口監督は、再建に向けて目指すスタイルに「守りの野球」を掲げている。
「理想の監督像はベンチでどっしりと何もせずに、試合を見ているのが一番だと思っている。その意味でバッテリーを含めて、まずは守備から入っていく。ピッチャーがしっかりと9回を抑えて、少なくてもいいので、バッターが点数を取る。自分のなかでは守りの野球が理想なので、そこに打線が噛み合ってくれればいいかな、と」秋季キャンプ後の11月23日に行われたファンフェスタで、日本ハムを本拠地ベルーナドームに迎える来年3月28日の開幕投手に今季187奪三振で初のタイトルを獲得した今井達也(26)を指名した。
チームが低迷を続けたなかで10勝をあげて、2シーズン連続の2桁勝利もマークした2016年のドラフト1位右腕へ、西口監督も全幅の信頼を置く。
「今年の成績を考えれば、ね。チームに対する思いも強かったし、監督を引き受けて迎えた秋季キャンプ中に、もう今井しかいない、と思っていたので」
そして、守りの野球を体現するためにも、今井と並ぶもう一人の右腕、高橋の復活は大前提となる。高橋は今月13日に契約更改に臨み、5500万円ダウンの年俸2億1000万円(推定)でサインした。空き番となっていた西口監督の象徴の背番号「13」を、2019シーズンから引き継いでいる高橋は、こんな言葉とともに奮起を誓っている。
「一度電話をさせていただいて、そのときに『頼むよ』と言っていただきました」
電話越しでも、西口監督は特別な言葉を発しなかった。2023シーズンまでの3年連続を含めて2桁勝利を4度マーク。通算65勝をマークしてきた高橋に必要なのは自信の回復であり、自然体のメンタルでマウンドに上がること。だからこそ信頼の二文字を込める一方で、取材対応のなかでも余計なプレッシャーを与えなかった。
初めての一軍采配で、西武の再建を託される来シーズンへ。西口監督は「僕自身は、そんなにプレッシャーは感じないですね」と笑いながらこう続けた。
「周りの人からも『今年よりも負けることはないだろう』といった感じで声をかけられていますし、僕自身も『今年よりもひとつは多く勝ちたいですね』と冗談まじりで答えています。もちろん個人としては、できる限り上(の順位)を目指していきますよ。言うまでもなく選手たちも、そういう気持ちでいてくれると思っています」
その視界には、西武OBの菊池雄星(33、エンゼルス)がプロデュースした、開業まもない岩手・花巻市の施設「King of the Hill」で越年の自主トレを敢行。心身ともに見違える状態で、2月1日の宮崎・南郷キャンプに合流する高橋の姿も映っている。
(文責・藤江直人/スポーツライター)