井岡一翔の大晦日世界戦中止の裏でファンを裏切ったWBA王者のインフル罹患の隠蔽問題…健康安全を管理するJBCは「理想はもっと早く中止を決断すべきだった」と苦言
JBCの安河内剛本部事務局長は、ギリギリまで開催を模索した状況を「最後の最後までコンディションを整えやる気だったと聞いている。それ自体は理解する」としながらも、今回の対応を問題視した。
「理想を言えば、なるべく早い段階で(中止を)決断した方が、試合を心待ちにしていたファンの方やプロモーションにとっても良かった。JBCから“こうしてくれ”というルールはないが、通常であればもう少し前に判断はあって良かったのでは。いずれにしろインフォメーションがなかった。それで判断が後手後手になった」
そして「今後は混乱しないように、もう少しインフォメーションがこちらに流れるようなやりかたを考えたい」と警鐘を鳴らした。JBCの立場としては当然の意見だろう。
12月24日に行われる予定だったスーパーバンタム級の4団体統一王者の井上尚弥(大橋)の防衛戦はサム・グッドマン(豪州)が来日直前の最後のスパーリングで左目上をザックリとカットしたことで1月24日に延期となった。またダブル世界戦として組まれていたWBO世界バンタム級王者、武居由樹(28、大橋)のV2戦も、同時にスライドしたが、武居が右肩に全治4週間の怪我を負ってさらに延期となった。そして今度は井岡の通算13度目になるはずだった大晦日決戦の中止。
次世代のホープである堤のWBA世界スーパーフェザー級王座への挑戦者決定戦をメインに繰り上げて興行が行われることがせめてもの救い。
相手は元WBA同級王者のベテランであるレネ・アルバラード(ニカラグア)。
チーム井岡のキャップをかぶって会見に出た堤は「カズさんは悔しいと思います。『自分のことに集中してね』と言ってもらった。(世界戦中止の穴を)背負うような状況にはないが、ひとつの興行をいい形で締めくくりたい」と自分に言い聞かせていた。
(文責・本郷陽一/RONSPO、スポーツタイムズ通信社)