「辞退していいのでは?」左足を負傷した久保建英のアジア杯代表合流予定に異論噴出
ヨーロッパ選手権や南米選手権は、原則としてヨーロッパがシーズンオフとなる6月から7月にかけて開催される。対照的に今回のアジアカップとアフリカネーションズカップは、ヨーロッパのシーズンが真っ只中の1月から2月にかけての開催となる。
特にアジアカップは、コロナ禍を理由に中国がホスト国を返上。中東カタールでの代替開催が決まったなかで、酷暑となる夏場の開催が回避された経緯がある。日本が至上命題として掲げる3大会ぶり5度目のアジア制覇を達成した場合、代表選手たちがそれぞれの所属チームへ戻るのは、早くて決勝戦翌日の2月11日となる。
国際サッカー連盟(FIFA)の規定で、各大陸の王者を決める大会では各国サッカー協会に選手を拘束する権利が生まれる。例えば久保の場合、決勝戦を戦えばラ・リーガを最大5試合欠場し、さらに2月14日に敵地で行われる、パリ・サンジェルマン(フランス)とのUEFAチャンピオンズリーグ決勝トーナメント1回戦への出場も極めて微妙になる。
ともにチームの中心を担う代表とソシエダの狭間で、久保はアジアカップに関して「優勝しなければ『何をしに行ったのか』と言われる」と覚悟をのぞかせていた。前出のフラッシュインタビューの最後では、不在となる期間に対する理解をサポーターへ求めている。
「僕に給料を払ってくれるのはレアル・ソシエダなので、ラ・リーガの期間中にアジアカップが開催されるのはとても残念です。ただ、この大会には出場する義務がある。国を代表して戦うのはとても素晴らしいこと。そして、このチームには僕の代わりになれる選手が大勢いる。僕がいなくても大丈夫だし、僕もカタールから応援しています」
グループDに入ったアジアカップでは、日本代表のフィリップ・トルシエ元監督(68)に率いられる14日のベトナム戦を皮切りに、19日のイラク、24日のインドネシアとグループリーグを戦う。決勝まで最大7試合。決勝トーナメントの4試合が本当の勝負になると考えれば、開幕直前で怪我を抱えた久保の出番は今月下旬以降になるのが自然の流れだろう。
今大会は各国とも最大26人を招集でき、試合ごとに23人を登録する形が取られる。3人のフィールドプレイヤーをベンチから外せる状況が、左足首の怪我からまだ復帰していないMF三笘薫(26、ブライトン)のサプライズ招集につながった。
そして、今度はトップ下候補の久保をアクシデントが襲った。同じポジションの鎌田大地(27、ラツィオ)を選外となった陣容で、森保一監督(55)が自信を寄せる選手層の厚さと、大会後半の勝負どころをにらんだ選手起用が問われる状況になってきた。
(文責・藤江直人/スポーツライター)