なぜ「雷神番外地」で平本蓮軍は”番狂わせ”の金星を提供し続けて朝倉未来軍に3勝4敗で敗れたのか?
今大会で元WBC世界ライト級暫定王者のライアン・ガルシア(26、アメリカ)と対戦する予定だった安保は、ガルシアの故障による出場辞退で一時は宙に浮いた状況から、朝倉軍の“大将”として参戦。体格差のあるカリミアンとのボクシングマッチを、軽快なフットワークを駆使して完勝した。
もっとも、最終第6ラウンドではK-1界最強のヒールとして知られるカリミアンが、反則技であるバックハンドブローを連発。これに安保も同じバックハンドブローで応酬し、さらに仲裁に入ったレフェリーをカリミアンが誤って殴って暴走する場面もあった。
安保に追い詰められた末に出したわけではないのかと、意図を問う質問に対して、カリミアンはやや語気を強めながら反則について弁明している。
「これは戦いです。そのなかで自然と出てきたものであり、別に狙ってやっていたわけではありません。みなさんも間違いを犯しますよね。それと同じです。いずれにしても(安保の)パンチは効きませんでした。もともと(パンチ力は)弱いと思っていたし、別にガードをしなくても大丈夫だと思っていました」
これが強がりだったのは、安保の証言が如実に物語っている。
「効いたパンチが3発はありました。映像で彼の足元を見てください。足がふらふらしていましたから。あそこで倒し切れたら『安保、カッコいい』となったんですけど」
さらに、電撃発表された朝倉と平本の再戦決定に、安保はこう言及した。
「日本の格闘技界のために、絶対に未来さんに勝ってくれ、という気持ちがある」
安保はギリギリまで平本とSNSでバトルを繰り広げていた。共にK-1出身だが、敵対視する平本ではなく、今回も誘ってくれた朝倉側に立つにも当然だろう。
結果として朝倉と平本の代理戦争であり、5.4東京ドームでの「THE MATCH2」の前哨戦となった「雷神番外地」は、朝倉軍に軍配があがった。リング上では、安保が「未来さん、僕にサポートできることがあれば何でもやります!」と絶叫していた。
(文責・藤江直人/スポーツライター)