「井上尚弥と中谷潤人が戦えばどうなる?」2人と”ガチスパー”経験のパリ五輪代表の原田周大に聞いた究極の質問の答えは?
プロボクシングのスーパーバンタム級4団体統一王者の井上尚弥(31、大橋)とWBC世界バンタム級王者の中谷潤人(27、M.T)の対決機運が高まっている。井上は24日に有明アリーナでIBF&WBO同級1位のサム・グッドマン(26、豪州)と延期した防衛戦を行い、中谷は2月24日に同場所で28戦無敗の同級6位ダビド・クエジャル(23、メキシコ)とのV3戦を行う。両者の夢対戦は2026年にズレ込みそうだが、2人とガチのスパーリングを経験したパリ五輪57キロ級代表で大橋ジムとサポート契約を結んだ原田周大(23、専修大)に”究極の質問”をぶつけた。
原田は仮想グッドマンを務めている
2025年の世界のボクシング地図を塗り替えていくのが井上だ。グッドマンの左目上カットの緊急事態で1か月延期された指名試合をクリアすると、春に米国再進出、秋には巨額契約を交わした「リヤドシーズン」によるサウジアラビアのリング登場が計画されている。
一方、その井上を追いかけるのが1階級下の中谷。2月24日に無敗のメキシカンを退ければ、次に待望の統一戦が待ち受ける。最有力はIBF世界同級王者の西田凌佑(六島)。そして2人のその先にあるのがドリームマッチである。大橋秀行会長は、2025年には行われず2026年にズレ込む見込みを明かしたが、もしかすると、その発表は2025年の年末にも行われる可能性はあるだろう。
今戦えば中谷は井上の敵ではない。ただこの究極の日本人対決は、まだ1年先。中谷がどれだけ成長するかが、この戦いの勝負論のカギになる。予想は難しいが、2人と貴重なガチスパーを経験してきたパリ五輪ベスト8で、ロス五輪で金メダルを目指しているトップアマの原田に「もし2人が対決したらどうなるか?」の究極の質問をぶつけた。
「めちゃくちゃ難しい」
原田は本当に困ったリアクションをした。
「井上尚弥さんは言うまでもなく、中谷潤人さんにも、まったく違う強さがあるんですよ」
原田は井上に仮想グッドマンとして指名された。
井上は「グッドマンにテンポ的に似ているし、逆に海外から呼んでいる選手にない細かい技術があるのでお招きをした。テンポも速く、慣れるまで大変だったが、そのテンポでできた」と説明していた。5ラウンドのスパーを4度行い、1か月の延期が決まった後にも、12月23日に再度、スパーで拳を交えている。
井上とここまでガチスパーをやると潰れてしまうボクサーが少なくないが、原田は「ギリギリでした。ガス欠寸前で、あと1ラウンド多いとそうなったかも」と苦笑いする。だが、井上とのスパーで「5ラウンドやったことで、違う粘り強さ、ハイペースを覚えたことが海外で生きた」と、手応えをつかみ、昨年11月のワールドボクシングカップファイナルでの銀メダルへつなげた。
一方の中谷とは、専修大の1、2年の頃から昨年のパリ五輪の直前までに計10度を超えるスパーリングをこなした。凄さを感じると共にスパーに必ずテーマを持つ姿勢に学びがあったという。
「スパーで僕がパンチをヒットすることがあっても一切悔しさは見せないし、反応はしないんです。ムキにもならない。なぜなら課題を持って、それを意識してスパーをやっているから。自分のやりたい動き、出したい動き、それだけに集中しているんです」
M.Tジムを訪れても雑談などはほぼないという。