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青学大の1年生アンカーの小河原陽琉が力走を見せて2年連続8度目の総合V(写真・アフロ)
青学大の1年生アンカーの小河原陽琉が力走を見せて2年連続8度目の総合V(写真・アフロ)

なぜ箱根駅伝の”超高速化”が続くのか?「理由は厚底シューズの進化だけじゃない 」2連連続V青学大の大会新記録更新に加えてシード権争いも激化

 

 陸上界の〝常識〟が変わるなか選手たちの〝目線〟も異様に高くなっている。6区で区間新記録を打ち立てて、金栗四三杯(今大会での活躍が顕著で今後の活躍が期待できる選手)と大会MVP(総合優勝に最も貢献した選手)のW受賞となった野村は、前回も6区を区間2位(58分14秒)と好走しているが、レース前から「56分台」を目標に掲げていた。そして区間記録(57分17秒/館澤亨次)を30秒も更新する56分47秒という驚異的なタイムで山を駆け下りている。
 7区で区間新記録を打ち立てた駒大・佐藤圭汰(3年)も凄まじかった。今季は恥骨を疲労骨折して、大きく出遅れていた。本格的なトレーニングを再開して2か月ほどで、状態は「70ぐらい」だったという。しかも10か月ぶりのレースだったが、「区間記録」をひとつの目安にスタート。10㎞を28分21秒で通過した。本人は「練習不足もあって残り3㎞できつくなってしまった」と満足はしていなかったが、従来の区間記録(1時間01分40秒/明大・阿部弘輝)を1分近くも塗り替える1時間00分43秒という異次元のタイムで突っ走った。

 個人的に最も驚かされたのが2区の衝撃的なタイムだ。2区初挑戦となった創価大・吉田響(4年)が1時間05分43秒、前回1時間06分07秒(当時・区間歴代4位)で区間賞を獲得した青学大・黒田朝日(3年)が1時間05分44秒。日本人最高記録(1時間05分57秒/東洋大・相澤晃)を塗り替えただけでなく、区間記録(1時間05分49秒/東京国際大・ヴィンセント)も更新した。
 さらに信じられなかったのが吉田響の設定タイムだ。当初から区間記録を大幅に上回る「1時間05分20秒」をターゲットにしていたのだ。
「設定タイムは相澤選手と黒田選手の記録を参考にしたうえで、ラスト3.1㎞の戸塚の坂を自分は8分30~40秒まで引き上げて、大幅な区間記録を狙っていました」
 一方の黒田は腕時計をしないで走る選手で、タイムはさほど意識していなかったという。今回も自分の感覚で走り、前年のタイムを23秒上回った。

 

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