2025年のF1界はどうなる?「レギュレーション変更前の最終年は大混戦に」チーム争いはフェラーリ本命もドライバーズ選手権は激戦必至…角田裕毅がレッドブルに途中昇格の可能性も
その点、レッドブルとメルセデスはチーム内の力関係がはっきりしている。レッドブルは2021年から4年間フェルスタッペンのチームメートを務めてきたセルジオ・ペレスが離脱。代わってRBから移籍してくるリアム・ローソンは過去F1に参戦した2シーズンとも、途中参戦だった。2025年は初めてのフルシーズン参戦となる。
ハミルトンのフェラーリ移籍でシートが空いたメルセデスのシートに収まるキミ・アントネッリはF2からステップアップしてくるルーキー。チーム在籍4年目となるジョージ・ラッセルをチームが優先するのは自明の理だ。
2014年のレギュレーション変更の前に行われた大変更は2009年だった。その前年の2008年のドライバーズ選手権はハミルトンとフェリペ・マッサによる激しい戦いが演じられ、決着は最終戦の最終ラップでつくほどの激戦だった。2025年のドライバーズチャンピオン争いが同じ展開になったとしても不思議はない。
チーム間の差が縮まるのは上位集団だけではない。中団グループの戦いも激しくなることは間違いない。その中で、注目されるのがF1ドライバーとして5年目のシーズンを迎える角田裕毅だ。
中団グループを形成すると考えられるのは、アストンマーティン、アルピーヌ、ハース、RB(2025年からはレーシング・ブルズに改称)だ。アストンマーティンには2度王者になっているフェルナンド・アロンソがいて、アルピーヌとハースにはピエール・ガスリーとエステバン・オコンという優勝経験者がいる。これらのチームとRBがコンストラクターズ選手権争いを繰り広げるには5年目の角田がアロンソ、ガスリー、オコンと互角に渡り合う必要がある。
これまでもアロンソ、ガスリー、オコンと何度かバトルしている角田が、2025年に同じように戦えない理由はない。そして、その走りができれば、2026年に向けて新しい扉が開かれる可能性は十分ある。
その可能性として考えられるのは、2025年にレッドブルへ移籍したローソンが成績不振に陥った場合に、急きょレッドブルへステップアップすることだ。レッドブルのヘルムート・マルコ氏(モータースポーツアドバイザー)は、ローソンに対して、予選でフェルスタッペンの0.3秒以上遅れてはならないという課題を出しているという。過去にガスリーやアレクサンダー・アルボン、そしてペレスも苦労した課題をフル参戦1年目のローソンがクリアするのは簡単ではない。もし、それが実現できなければ、ローソンの代役の第一候補が角田になることは間違いないだろう。
もうひとつは、角田の2026年のシートだ。角田とレッドブル・ファミリーとの契約は2025年末で切れる。おそらくチーム側が契約を延長できる権利となるオプションの期限は8月末か9月末。それまでにレッドブル・ファミリーが角田との契約を発表しなければ、角田はレッドブル・ファミリーとの関係に終止符を打って、それ以外のチームへ移籍することが可能になる。
果たして、角田はそのとき、どんな選択を行うのか。2026年へ向けた戦いは、2025年の開幕戦からスタートが切られる。
(文責・尾張正博/モータージャーナリスト)