2度目キャンセルで井上尚弥を動揺させたグッドマンの代役の韓国人ボクサーは強いのか?「パッキャオ&メイウェザー」の異名を持ち日本人に7戦7勝も韓国ファンは「怪我しないで」と悲観論
大橋会長は「このタイミングなのでやってくれる選手はほとんどいない。すぐ手をあげてくれてOKしてくれたのは彼だけだった。好戦的な韓国ファイター。韓国で凄い人気のあった選手で、韓国のファンも喜ぶ、韓国のボクサーは10年以上世界戦をやっていないそうだしね。いい試合になればいい」と紹介した。
韓国では、元WBC世界フェザー級王者の池仁珍が、王座を剥奪された2007年以来、世界王者が不在だ。
ニックネームは「トラブルメーカー」と「パッキャウェザー」。トラブルメーカーの由来は不明だが、「パッキャウェザー」は、元6階級制覇王者のマニー・パッキャオ(フィリピン)の攻撃力と元5階級制覇王者で無敗のフロイド・メイウェザー・ジュニア(米国)のディフェンス力を兼ね備えているところから命名された。
2015年8月に掲載されたソウル新聞の記事によると、所属していたジムの会長は「彼はメイウェザーのようにショルダーロールでディフェンスをし、攻撃するとパッキャオのようになる。その2つが混ざり合ったボクサーだ」と絶賛。当時、すでに韓国ボクシングは、低迷期に入っており、「世界王者に最も近い韓国人ボクサー」と称されてIBF世界スーパーバンタム級王者のカール・フランプトン(英国)への挑戦を目論んでいた。まだ22歳で、女子フィギュアスケート界の大スターに重ねて「ボクシング界のキム・ヨナ」とも呼ばれた。
キムは、そのソウル新聞のインタビューに答え、「日本のボクシングがこれほど強いのは、有名ボクサーが現役を引退してもボクシングに関わる仕事を続け、家業のように受け継いでいくからだ」と、日本を手本にしていることを語り、「私の目標は、世界チャンピオンになること。世界ベルトをつけて韓国でボクシングの人気を取り戻す」と誓っていた。
だが、キムは、その後、左肘の靭帯を痛めるなどして2年間のブランクを作ったこともあり、世界戦線から遠ざかり32歳となった。
「パッキャウェザー」の異名は誇大宣伝に近いのかもしれない。確かに上体は柔らかく、ボディワークでディフェンスはできるし、足を使った出入りのボクシングも、韓国伝統のスタイルとも言える、突進しての怒涛の連打も打ち込んでくる。手数は多く右ストレートが武器。スイッチして戦う器用さがあり、米国に遠征して判定でキャリア2敗目を喫した2023年4月のロブ・ディーゼル(米国)戦では、終始サウスポースタイルで対峙していた。6年前の小坂との試合では、計3度のダウンを奪ったが、いかんせんパンチはなく、ディフェンスにも穴があり、かなり右のパンチを被弾していた。井上であればキャンバスに沈められていただろう。WBO以外の3団体で世界ランキングに入っていないことが示すように井上を脅かすモノはない。