「プレッシャーのない仕事はどの世界にもない」J1川崎で剛腕を発揮した鬼木監督は26年ぶり復帰の鹿島アントラーズを優勝に導けるのか?
鹿島アントラーズの2025シーズン新体制発表会が12日に茨城・鹿嶋市内で行われ、鬼木達新監督(50、川崎フロンターレ前監督)と、昨シーズンの得点ランキング2位のFWレオ・セアラ(29、前セレッソ大阪)ら新戦力8人がファン・サポーターを前に意気込みを語った。J1歴代最多の20冠を誇る鹿島だが、国内三大タイトルは2016シーズンの天皇杯制覇が最後。8シーズンで川崎に7個のタイトルをもたらした鬼木監督は、26年ぶりに復帰した古巣・鹿島を常勝軍団復活へ導けるのか。
「選手はタイトルに飢えている」
四半世紀以上の歳月がたっても、現役時代をすごした古巣は変わっていなかった。
鹿嶋市内の高正U&Iセンターホールで開催された、2025シーズンの新体制発表会。司会を務める鹿島のOBで、日本代表としても活躍した名良橋晃氏(53)から1999シーズン以来、26年ぶりに復帰した古巣の印象を問われたときだった。
懐かしさがこみあげてきたからか。鬼木監督が思わず目を細めた。
「トレーニングをしていても、タイトルに飢えている、というのが見て取れるんです」
1996シーズンのリーグ戦優勝を皮切りに、鹿島が獲得してきたタイトルは「20」を数える。ライバル勢の追随を許さない歴代最多となる一方で、直近のタイトルは2018シーズンのAFCチャンピオンズリーグ(ACL)。国内三大タイトルに限れば、J1リーグと天皇杯の二冠を制した2016シーズンが最後になっている。
Jリーグが産声をあげた1993シーズンに、千葉県の強豪・市立船橋高から加入。ボランチとしてプレーした鬼木氏は、1998シーズンに当時JFLだった川崎へ期限付き移籍。1999シーズンに鹿島へ復帰するも、翌2000シーズンには川崎へ完全移籍した。
鬼木氏が鹿島時代に経験したタイトルは、リーグ戦、ヤマザキナビスコカップ(現YBCルヴァンカップ)、そして天皇杯がひとつずつ。それでも、レギュラーを射止められなかった6年間を「勝つチームの空気感を肌で感じられた」と位置づけ、現役引退後の2007シーズンから川崎でスタートさせた指導者の道で指針にすえてきた。
そして、7シーズンにわたる川崎のコーチをへて、2017シーズンからは川崎の監督に就任。同年のJ1制覇で川崎に悲願の初タイトルをもたらすと、翌2018シーズンにはJ1を連覇。2019シーズンのルヴァンカップ初優勝をへて、2020シーズンからは再びJ1を連覇。2020、2023シーズンには天皇杯も制して黄金時代を築きあげた。