「もう腰抜けグッドマンと戦う必要はないよ!」井上尚弥が2度キャンセルした無敗のWBO&IBF指名挑戦者と戦う可能性は消滅したのか…大橋会長は「機会があれば」と発言も
プロボクシングの井上尚弥(31、大橋)が1月24日に有明アリーナで戦う予定だったWBO&IBF世界同級1位のサム・グッドマン(26、豪州)が左目上の怪我を再発させてまたキャンセルしたことの波紋が広がっている。井上は、代役のWBO世界同級11位で元WBA&IBFアジア王者のキム・イエジョン(32、韓国)と戦うことになったが、グッドマンとの3度目の世界戦がセットされる可能性はあるのだろうか。
左目上の傷をまたカット。今度は全治6か月
もう不慮のアクシデントでは片づけられないだろう。本来、昨年12月24日に予定されていた試合を来日直前に左目上を4針縫うカットをしたため、キャンセルしていたグッドマンが、またその傷口を開けて、2度目のキャンセル。昨年9月の一度目の対戦オファーを先に7月に前哨戦が決まっているとの理由で断ったことを加えれば、すでに3度目のキャンセルだ。
SNSやボクシング関係者からは「戦うのが怖くて逃げた」「もう腰抜けグッドマンと戦う必要はないよ」などの厳しい意見が飛び交ったが、そう受け取られても無理はないだろう。
豪州メディア「コーデスポーツ」が、生々しい傷跡の写真を掲載した。大橋会長にも「前回の3倍の傷口が広がって試合はできない」と連絡が入ったそうだが、確かに傷口は、前回よりも深くて広い。元WBC世界バンタム級王者の辰吉丈一郎が、目を保護するために使っていたフルフェイス型のヘッドギアや、古傷をテープや水絆創膏などで保護して、慎重にスパーリングをしていれば、よほどのアクシデントでない限り、ここまでの怪我を負うことはない。大橋会長によると、全力で殴り合うのではない「マススパー」でカットしたというのだか、どういった状況で起きたのかは不明。ただ完全な不注意であり、陣営の管理ミス。人為的な失態だ。
豪州版「フォックススポーツ」は、グッドマンのプロモーターであるノーリミットボクシングのマット・ローズCEOの「グッドマンは凄く取り乱していた」「我々は打ちのめされている」などの言葉を伝えた。「柔らかくなってしまった皮膚の整形手術を24時間以内に受けなければならない」そうで、全治は6か月。それでも、陣営は井上への挑戦をあきらめていないという。
ファンの間でもグッドマンへの期待感は急落した。無敗ではあるが、スピード、パワー、パンチ力、耐久性など何かに突出したボクサーではなく総合型。世界的な評価も高くなく、元々海外のメディアやファンからの待望論が生まれるほどの危険なボクサーではなかった。ただWBO&IBFの1位で指名挑戦者の特権を持っているだけだ。
だが、大橋会長はグッドマンとの3度目の試合が組まれる可能性に含みを持たせた。
「勝つために強くなるか、怪我するか、ギリギリの戦いの中で最後に怪我してしまった。全治半年と聞いているが、きっちりと傷を治してまた機会があれば戦えればと思う。(もうグッドマンとは対戦しなくていいなど)いろんな意見は出るが、指名挑戦権を維持していれば、チャンスを与えたいと思っている」
大橋会長がそう発言する背景には、指名試合を避けると、ベルトを剥奪される恐れがあるというボクシング界の特殊な事情がある。