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イチロー氏が資格1年目で殿堂入りを果たしたが満票でなかったことに波紋(野球殿堂博物館のライブ映像より引用)
イチロー氏が資格1年目で殿堂入りを果たしたが満票でなかったことに波紋(野球殿堂博物館のライブ映像より引用)

「私もイチローには投票しない。26人の記者の考えも理解できる」満票での野球殿堂入りならず波紋を広げた問題に“殿堂先輩”の球界大御所が独自見解

「イチローに入れなかった記者の考えは理解できる。殿堂入りには決まった定義はない。それぞれの記者の価値観で判断するわけだから、多様な見方があっていいと思う。7人を列記しなかった記者もいるだろう。私もそうだ。殿堂入り者には、エキスパート表彰の投票権があり、6人を列記できるが、私は毎年一人しか書かない。殿堂入りとはそれだけ格調高きものでなければならないとの考えからだ。今回は掛布ではなく、私がヤクルトの監督時代にエースだった松岡弘に入れた。弱小のヤクルトで責任を負い苦労した。その中で2桁勝利を12度も記録し、通算190勝をした功績こそ殿堂入りにふさわしいというのが私の見解だからだ。イチローの殿堂入りを認めない記者がいてもおかしくない」
 広岡氏が説明したように、野球殿堂入りの選出の定義としては、表彰委員会規則の総則に「日本野球の発展、振興、普及に多大な貢献を成した方々の功績を永久に讃える」とあり、第16条の「選考の要件」としてこう規定されている。
(1)試合で表現した記録、技術が優れている者
(2)所属チーム及び野球の発展に顕著な功績をあげた者
(3)野球に対し誠実であり、スポーツマンシップを体現した者
(4)ファンに野球の魅力を伝えた者
 そして「なお、完全試合の投球、未曽有の長距離本塁打、単年度の大記録、実働が短期間での活躍等をもって、野球殿堂入りとして選考してはならない」とのただし書きがある。
 時代が変わり、メジャー挑戦する選手が増え、日本だけではなく、日米の活躍を含めた功績で評価することになっているが、曖昧な基準ではある。
 広岡氏は、こうも続けた。
「イチローは今回全米でも殿堂入りする選手だ。相当の記録を持っている選手でさえ米では殿堂入りできない。それだけの素晴らしい実績を残した。ある意味、日本の殿堂よりもメジャーの殿堂は価値あるもの。そこで選ばれるのであれば、日本の殿堂に投票する必要はないという考えもあったのではないか。『日本野球の発展、振興、普及に多大な貢献を成した』という定義を『メジャーでの活躍は関係ない』と解釈した記者もいると思う。日本では7年連続首位打者を獲得しているが、プレーしたのは、9年でメジャーの19年より少ない。安打数も1278本に留まっているという点も加味されたのだろう」

 

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