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イチロー氏が資格1年目で殿堂入りを果たしたが満票でなかったことに波紋(野球殿堂博物館のライブ映像より引用)
イチロー氏が資格1年目で殿堂入りを果たしたが満票でなかったことに波紋(野球殿堂博物館のライブ映像より引用)

「私もイチローには投票しない。26人の記者の考えも理解できる」満票での野球殿堂入りならず波紋を広げた問題に“殿堂先輩”の球界大御所が独自見解

 イチロー氏のオリックスでの9年は決して「短期間の活躍」の範疇には入らない。阪神・淡路大震災の起きた1995年には「頑張ろう!神戸」を合言葉にオリックスのリーグ優勝に貢献。1996年には連覇にも貢献した。だが、広岡氏が指摘するようにメジャーでの19年の偉大な功績が、日本の殿堂入りに関して“反作用”した可能性もある。
 また広岡氏は、「殿堂入り者には、人間性や品位、品格が求められる」との持論を展開させた。
「イチローは何かとこだわりを持っている性格に見える。特別な事情があったのかは知らないが、通知式には出たが、会見には出なかったとも聞いた。そういう部分を含めて、イチローの人間性を毛嫌いした記者もいたのだろう」
 それは「選考の要件」である「野球に対し誠実であり、スポーツマンシップを体現した者」に対する見解の相違なのかもしれない。
 イチロー氏は、記者会見には出なかったが、表彰委員会の代表質問に答え、日米での活躍の原動力について「多くの人が常識だと思っていることを疑い、大事な決断は自らしてきました。第三者の常識ではなく感性にもとづき行動してきたことは大きな要因の一つだと思います」と返答している。
 イチロー氏に投票しなかった26人の記者は、同じく「第三者の常識ではなく感性にもとづき行動」したのかもしれない。満票での殿堂入りを逃したことが話題になることこそ、そもそもイチロー氏の偉大さを証明している。
 (文責・駒沢悟/スポーツライター)

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