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殿堂入りした元阪神の掛布雅之氏と元中日の岩瀬仁紀氏
殿堂入りした元阪神の掛布雅之氏と元中日の岩瀬仁紀氏

野球殿堂入り通知式で“ミスタータイガース”掛布雅之氏にイチロー氏が確かめた“都市伝説”とは何だったのか…世代を超えた2人の天才打者が交わした日本野球改革論

「誰が4番を打つのかわからない。森下と言われているが、そういう気持ちを持ってチームを引っ張ってもらいたい。大山もフル出場で4番を打った。その大山が若い4番を育てる。素晴らしいクリーンナップを作れる。凄く期待をしている」
 控室では日本野球の改革論が盛り上がったという。
 話の発端は、イチロー氏の王氏、掛布氏、原氏への問いかけだった。
「皆さん、現役時代に退場処分になられたことはありますか?」
 3人共に答えはノー。
 掛布氏も現役生活の中で退場処分になったことは一度もない。
 ゲストスピーカーを務めた原氏が「掛布さんは甲子園で喝采、拍手を一番多く受けた選手。どこか孤高の天才。独特の雰囲気を持たれ、大したことには動じず、喜ばず、どういう事があっても、威風堂々とプレーをされている。その姿に感銘を受け憧れた」と称えたが、その品格こそ一流打者の証明なのだろう。
 するとイチロー氏は「僕は一度だけ退場があるんです」とマリナーズ時代の話を始めた。2009年9月27日、敵地で行われたブルージェイズ戦。5回一死三塁での打席で外角のボールを自信を持って2球見送ったが、いずれもストライクと判定された。3球目もほぼ同じ外角のコースに投じられたボールを見送ったが、結果は見逃しの三振。イチローはバットで地面に線を書き、ボールだと審判にアピールしたが、それが侮辱行為とみなされ退場となった。
「僕らの時代は、外角のボールを甘く取っていた時期があったんです。でもどんどんストライクゾーンが修正されてきました。メジャーはお客さんに合わせて修正していくんです。今は、内角も外角も厳しくなっているので、必然、どんどんボールが真ん中に集まります。だから大谷(翔平)が打っているとは言わないですよ。でも野球が変わっています」
 掛布氏がその変更は事前にアナウンスされるの?と聞くと、「それはされないのですが、やっているとすぐにわかるんですよ」とイチロー氏は返したという。
 そこで日本野球の改革論に議論が発展した。
 日本のプロ野球は「投高打低」の傾向が年々強まっている。
 昨季の打撃10傑で、3割打者はセ・リーグが.316で首位打者のオースティン(横浜DeNAと.315のサンタナ(ヤクルト)の2人、パ・リーグは.314で首位打者の近藤健介(ソフトバンク)1人だけだ。本塁打王も、セが村上宗隆(ヤクルト)の34本、パが山川穂高(ソフトバンク)の34本。パでは2023年の本塁打王はボランコ(ロッテ)の26本だった。その一方で投手陣はセがトップの高橋宏斗(中日)の1.38から、菅野智之(巨人)、才木浩人(阪神)、大瀬良大地(広島)まで4人が防御率1点台をマークしている。

 

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