フィリーズとマイナー契約で合意した阪神の青柳晃洋に開幕メジャーの可能性はあるのか…GM補佐は「ロースター枠を獲得するのは難しいがユニークな戦士だ」…残る空席は中継ぎの一枠
フィリーズは17日(日本時間18日)、阪神からポスティングシステムを利用してメジャー移籍を目指していた青柳晃洋(31)とマイナー契約で合意したことを発表した。ホルヘ・ベランディアGM補佐は「ユニークだ。あまりいないサイドハンドであることが武器」と獲得理由を明かした。招待選手としてメジャーキャンプに参加できる予定だが、“虎のサブマリン”が開幕メジャーを勝ち取る可能性はあるのか。
ギリギリに滑り込んだ。昨年12月4日にポスティング申請した青柳の交渉期限は、米東部時間17日午後5時(日本時間18日午前7時)だった。メジャーの契約では“あるある”ではあるが、青柳にとっては気が気でなかっただろう。
青柳とマイナー契約で合意したフィリーズは、昨季ナ・リーグ東地区で13年ぶりの地区優勝を飾り、3年連続でポストシーズン進出を果たした強豪チーム。打線にはMVP2度獲得のスーパースター、プライス・ハーパー、昨季100打点のカイル・シュワーバーが並び、エースには、今季16勝のメジャー屈指の右腕ザック・ウィーラーが君臨する。ただ2022年はワールドシリーズ、2023年はリーグ優勝決定シリーズで敗れ、昨季は地区シリーズでメッツに敗れ、あと一押しが必要で、今季は4年連続のポストシーズン進出と共に世界一を狙っている。
そのフィリーズが青柳に白羽の矢を立てた理由は何なのか。
MLB公式サイトによると、ベランディアGM補佐は、「彼のユニークさが気に入っている。サイドハンドの選手はあまりいない。彼は日本で戦士だった。先発もリリーフもこなした。色んなことをやってきた。自分の持っている武器を見せてくれればいい。彼は戦士だ。ここに来てメジャーで投げる機会を求めている男だ」と説明した。サブマリンの変則投手はメジャーでは貴重だ。タイミングを取るのが難しく、初見ではなかなか対応できない。
同サイトは、青柳を「時速87マイル(約140キロ)から91マイル(約146キロ)のストレート、スイープスライダー、スプリットチェンジアップ、カッターなど4球種をミックスしたゴロ投手」と紹介した。昨季のアウトのうちゴロアウトは41.4%を占める。ストライクゾーンの両角に落とすシンカーとスライダーでバットの芯を外すのが、青柳の職人芸。また同サイトは、青柳の通算成績と共に日本一を決めた2023年のオリックスとの日本シリーズ第7戦に先発して4回2/3を無失点に抑えたことをわざわざ書き加えている。
過去にフィリーズでプレーした日本人は、田口壮氏、井口資仁氏の2人で、投手としてユニホームを着るのも、他のメジャー球団を経ずNPBから入団するのも初。フィリーズは一昨年オフには、大谷翔平、山本由伸の獲得に乗り出したが振られ、今オフには佐々木朗希にオファーを出したが、書類選考で落とされた。そういう経緯があるだけにベランディアGM補佐は、青柳獲得の意義をこう強調した。
「すべての関係者にとっても、私たちが日本で育ててきたものを考えても良い契約となった。ここから何かが生まれるかを見てみたい。とにかくクールな契約だし、サイドハンドは武器になる。(マイナーから開幕)ロースターの枠を奪うことは難しい。ただ彼がフィリーズを選んでくれて嬉しい。私たちは、ここがいい場所だということを彼に示せたんだ」